恋の防衛戦線。俺が敵の謀略に落ちるまで

403μぐらむ

ep.0

和亮かずあき、また頼む」

「えっ、また? 今度は誰なんだ」

「隣のクラスの石嶺いしみねって知ってるか?」

「石嶺……。あ、ああボブカットの少し背の低いかわいい系の子だろ。わかった」


 俺に相談を持ちかけたのは子供の頃からの親友の相良智春さがらともはる。誰もが目を瞠るようなイケメンで、女の子からのアプローチもそれなりにある。要するにモテる。


 しかし、智春にとってはそれが一番の悩みってところなんだよね。


「なんか校舎裏に呼び出されたんだけど、やっぱ行かなきゃだめかな?」

「その子が悪い子じゃなければそろそろ年貢を納めてもいいんじゃないか?」

「とんでもない! 絶対に嫌だね。そんな事言うなら和亮がその子と付き合えばいいじゃん」

「俺関係ないしっ!」


 際立って智春が女子からモテ始めたのは中学生の時から。それはもう誕生日とかバレンタインの日なんかプレゼントが山のように届いていた。傍から見る分には羨ましい限りなんだが当の本人はあまりにも女の子からの圧に辟易していたという。


 そんな折事件は起きた。


 智春を巡って女同士の争いが表面化する。先輩後輩同級生入り乱れての言い争いからの殴り合い。女の子も殴り合いするんだって聞いたとき俄には信じられなかったね。


 それから智春は一切女の子との関係は断ち切って、というよりも女性恐怖症のような感じになってしまった。

 故に以後はなにか女の子絡みのことが起きるたびに智春は俺へと相談してきてその解決を依頼してくるって感じになっていったんだ。


 ただ、依頼を解決するっていっても俺としてもそんな大したことは出来ない。そもそもモブなフツメンの俺には女の子の扱いに長けているなんてことが一切ないのでそこは仕方ない。

 よって、だいたい俺ができるのは女の子が告白しようとしてくる際の妨害とか智春と二人きりになろうとするのを間に割り込んだりして防止したりするのが関の山。それでもまあ、長い事そんな事やっていると対処もうまくなるってもの。


 ただし、俺の女の子たちからの評判は最低最悪なところまで落ち込んでいく。俺には未だ好きな人とかいないから大丈夫だけど、もしそういう人が現れたらどうすりゃいいんだ?


「俺、こんな妨害工作みたいなのが上手くなってもぜんぜん嬉しくないんだけど? 裏で女の子たちにすっげー嫌わているみたいだし」

「そこは申し訳ないと思うんだけど、ここは一つ頼むよ。こんどファミレスでハンバーグステーキセット奢るからさ」

「ん、まぁしょうがないな。ドリンクバーもつけてくれよな」

「おっけ」


 ということで今日も今日とて智春のボディガードを買って出ているってわけ。困っている親友を無碍に扱うなんてできやしないからね。






「ねえ、聞いていい?」


 石嶺さんの件が落ち着いた頃、智春と俺の二人で昼飯を食っていたところに二人のクラスメイトの女の子が突如やってきた。


 板橋いたばしという快活そうな子と八幡やわたというおとなしそうな子の二人。この二人とはいままで接点らしい接点は持ったことがないと記憶している。


「な、何のこと?」


 智春が怪訝そうに、そして嫌そうに聞いてきた板橋さんに聞き返す。


「二人が付き合っている、ってハナシ」

「え? 誰と誰だって!?」

「相良くんと西嶋にしじまくんだよ。しかも西嶋くんのほうが熱烈に相良くんに惚れていて近づく女子の排除に躍起になっているっていうのがもっぱらの噂なんだけど」

「ふ、腐女子界隈では今一番熱い話題みたいですよ」


 純情そうな八幡から腐女子なんて言葉を聞くとは思わなかった。しかし、今はそれじゃない。


「勘弁してくれっ!! 俺が智春と!? ゼッテーにありえない。なっ、智春もしっかり否定してくれ」

「和亮、オレとは遊びだったんだな。ショックだよ……」

「え? まじ……って、おいこらやめろ。冗談でもそんなこと言うな。俺の恋愛対象は女の子で間違いないし!」

「あはは。そこはオレも間違いなく女性だといい切れるから安心してくれ」


 智春は悪乗りして冗談を言っていたことはわかるが、内容が内容だけにちょっとビビったのは間違いない。


「なんだ、つまんないの」

「多様性の時代ですから、隠さなくても大丈夫ですよ?」

「おい板橋! ぜんっぜんつまらなくないから。あと八幡、何も隠していないからそこは要らない心配だぞ、おっけー?」

「「「あはははは~」」」


 俺以外の三人が大笑いしている。つられて俺まで笑いだしてしまった。




 板橋と八幡が離れてから智春に再び話しかける。


「珍しいな。智春が女の子と普通に会話して笑っているなんて」

「ああ、そういえばそうだな。ま、オレも変な恋愛感情を向けられなければ普通に会話くらいはできるんだよ。あの色恋で盲目になってギラついた感じが苦手ってだけだからさ」


 確かにさっき二人が寄ってきたのは俺たちが良からぬ関係じゃないかっていう噂話の真相を聞きに来ただけだったもんな。


「それにしても俺と智春がBLな関係とは嫌な噂だな」

「そうか? オレはそれだけ和亮と仲が良いって証拠だと思うからそんなには嫌じゃないけどな」

「やめろって。俺は女の子が好きなの」

「じゃあ恋人を作りなよ。オレと違って和亮ならすぐにでも彼女できるでしょ?」


 ではお言葉に甘えて、なんて簡単に好きな人はできないと思う。恋はするものではなく落ちるものだって聞くけど今までそんな経験ないし、そもそも俺女の子に嫌われているらしいし……。


「まあ、機会があったらな」

「なら、さっきの二人のうち和亮はどっちが好みだったりする? 活発そうな子のほう、それともおとなしめの淑やかそうな子?」






 あの会話がきっかけになったようで、板橋と八幡はよく俺達の会話に混ざるようになっていた。智春も恋愛がらみではなければ本当に女の子との会話に苦手意識はないようでごく普通のクラスメイトの友人の関係でいられた。


 そしていつの間にか何をするのも俺、智春、板橋改め美依みよりと八幡改め綾乃あやのの四人組で行動するようになって数ヶ月。すっかり忘れた頃にアレがまた起きることになる。しかもかなり身近なところで。


「和亮、なんかやばい」

「どうした?」

「わかんないか? 綾乃の様子がおかしい」

「綾乃? なにかおかしなことでもあったのか?」


 智春がいうには綾乃の様子がここ最近おかしいという。どうおかしいかというと、智春的に恐れていた例のアレが起きているような感じだという。


「つまり綾乃は智春に惚れた、ということで間違いないか?」

「確証は取れないけど、最近やたらとボディータッチが多いような気がするし、意図的に二人きりになろうとしているような雰囲気があって。あと、わかんないかな、声のトーンがオレと話すときだけ少しだけ高い気がする」

「そうなのか? 勘違いってことはないか?」


 だってそれを言ったら美依は俺のことバシバシ叩いたりしているからボディータッチが多いといえば多いことになるし、美依との二人行動も俺はそれなりにあると思う。声の高さはさっぱりわからないが、かといって美依が俺に好意を寄せているとはまったく感じられない。


「それは和亮が鈍感なだけじゃないのか?」

「いや、違うと思うけど……違うよね?」

「とにかく、今までみたいにガードとブロックをさり気なくやってもらえると有り難いんだけど」

「そりゃいいけど。綾乃でもダメなのか?」


 申し訳無さそうに小さく智春は頷く。無理をしてもいいことなんてなにもないのでこれ以上俺は何も言わないが、少しだけ残念に思った。




 何はさておき早急に対応だけはしておかないといけないようなので、智春から相談を受けた直後から妨害工作を実施することになった。

 結構長い時間一緒に遊んだり笑いあったりした友人のことを排除するかのように行動をしなくてはいけないのは忍びないが、これもそれも親友の智春のためと心を鬼にして綾乃との間を阻むように行動する。


 とはいえ、友情を壊さないようにというただし書きが付いているので今まで以上に厳しいミッションになっているのは確かなこと。

 ただ椅子に座るといったときも絶対に智春と綾乃は隣り合わせにならないように俺が割り込んだり、綾乃が智春と二人きりになりそうだと「なあ智春! 便所行こうぜ」とかどうでもいいようなことを言って智春を連れ出したりもした。


 いっぽう智春と綾乃を引き離すために俺は積極的に綾乃にも話しかけ、何処に行くにも綾乃をよく誘った。一応友人という体なので綾乃も断るようなことはしないでくれたのでなんとか少しずつでも智春と綾乃の物理的距離を稼ぐことには成功していた。


 そんなことを一月ばかり必死に実行していたとき夜ももう寝ようかと言う時間に智春からメッセージが届いた。それを見て俺は顎が落ちるんじゃないかと思うほど驚いてお口あんぐりになってしまった。


 智春『急なことでごめん。先に謝っておく』

 和亮『どした? もう眠いんだけど今じゃなきゃダメなハナシ?』

 智春『うん。実は……』

 和亮『なに?』

 智春『実は、今日、美依と付き合うことになった。オレから告白してOKもらった』


 …………えっ?


 俺はもう一度スマホの画面を目を見開いた後にしっかりと見てみた。智春からのメッセージには『美依と付き合う』の文字が間違いなく書かれていた。しかも告白は智春からだという二重の驚きも記されていた。


 和亮『……えと。うん。なんていうか。おめでとう?」

 智春『ありがとう。あんなこと言っておいてしかも美依と付き合うとかありえなくてほんとごめん。でも、本気なんだ』

 和亮『いや、大丈夫。末永くお幸せに』

 智春『ありがとう。まずは和亮に報告するのが筋だろうと思って。夜遅くにごめん。細かい話はまた後で。じゃ、またあした』


 そこで智春のメッセージは途切れた。


 いや…………これ、どうなっているの? イミフ過ぎるんですけど。


 え? 綾乃はどうなるの。ずっと妨害していた俺の立場は? つっか友人同士で付き合い始めるのは百歩譲って認めたとしても残された感じの綾乃はどうなるのよ。最悪じゃね?


「まさか智春がこんなことをするようなやつだったとは思わなかった……。いや、人を好きになるのはまったく問題ない。というより智春が女の子のこと好きになれたのは逆にめでたいとさえ思う、けど……えー? 俺ほんとにどうすりゃいいのよ」


 もう深夜で周囲がしんとなった一人部屋で俺は完全にパニクっていた。


「寝るとかもう無理」


 ピコン♪

 スマホにメッセージが着信。


「智春! もううるさい。勘弁して」


 メッセージは智春だと思ってスマホを取り上げたけど、その相手はなんと綾乃だった。こんなときに限ってあの綾乃からだ。


 最悪な気分でメッセージを開封すると――。


 綾乃『ミッションコンプリート。ご協力に感謝』


「?? どういうことだ」

 意味がわからないので返信を送るが既読さえつかなかった。




 翌朝殆ど寝ていなくて眠くてしかたない目をこすりながら学校に行くとまず初めに綾乃の姿を探す。

 智春や美依のことも気になるが、それよりも何よりも昨夜の『ミッションコンプリート。ご協力に感謝』の言葉が妙に気になる。


 俺の想定では、綾乃は智春に振られたわけだし、しかもその相手は彼女の親友だった美依である。普通にショックとか信じられないといったレベルのことが起きているはずなのだ。なのにあの言葉。絶対に裏があると見ていた。


 綾乃は一人で自分の席に座っていた。特に落ち込んだ様子も見られず、いつもどおりに静かにそこにいる。


「綾乃。ちょっといい?」

「おはようございます。なんですか? もう少しでホームルームが始まってしまいますよ」

「いいからこっち来いよ」

「きゃっ」


 周囲のクラスメイトからは少し変な目で見られたが、いちいち気にしていられない。そもそも綾乃の言動のほうがその数百倍も気になって仕方がない。




 他人の目がないところってことで手っ取り早く校舎の隅にある空き教室の一つに入った。


「話が聞きたいんだけど」

「なんですか、こんな人気のないところに引き込んで。大声だしますよ」

「いいいいや、そういうんじゃなくて。えっと、こっ、これ。昨日のメッセージだけど説明してくれるかな?」

「ふふふ……へっへへ……あは、あははははっ! おもしっろ! 和亮、動揺しすぎだって」


 なに? どうした。口調も。え? 呼び捨て……。


「どどど、どういうこと?」

「あのね。あれは作戦が無事に完了したから和亮にお礼を言ったまでだよ」

「だから! それはどういうことだって聞いているんだろっ」

「まぁまぁ、落ち着いて。これから全部話すから、ね?」

「……わかった」


 綾乃は隅の方に重ねてあった椅子を二脚持ってきて並べて置いた。片方に座れということらしい。つっかなんで横並び? 話をするなら対面すりゃいいのに。


「えっと、あのね。智春くんと和亮って幼馴染でしょ? わたしも美依と幼馴染なんだ――」


 幼い頃より活発で男勝りな美依と静かで女の子らしい綾乃みたいな見られ方をしていたという。でも実際にはより女の子っぽくて乙女チックなのは美依の方で、ガサツで適当だったのが綾乃の方だったらしい。

 それでも見た目とちょっとした行動の違いでそういう見方をされたまま、今までずっと来てしまったと続ける。イメージのラベリングってやつなのかもしれないな。


「ガサツって言っても服を脱いだら脱ぎっぱなしとか、風呂上がりに裸で歩き回るとかはないから安心して」

「それはまたガサツとは少し違うような?」


 安心とはなにか。どうでもいい話は横においておいてと、綾乃は話を続けた。


「それでね、その美依が高校生になって初めて恋をしたわけですよ。まじ乙女ですよ」

「それが智春、と?」

「せいかい。その通り」


 だからといってそのまま告白へとは進まなかった。そりゃそうだよな。智春は以前より女の子のことずっと避けてきていたから、告白したところで失敗しか見えてこない。


「だからね。それは何故かってことをまず初めにリサーチしたわけ。そしたら、一番の原因に智春くんの周りを彷徨くコバンザメがいたのよ」

「そのコバンザメって俺のことか?」

「お、冴えてるね。正解」

「そりゃどーも」


 それで綾乃と美依は作戦をねった。まずは智春に近づかないと話にさえならないので、俺と智春の関係をBLになぞってからかい半分に近づくことにする。


「実際にホモ疑惑はあったからね。利用させてもらったの」

「あれって本当だったんだ。今更だけどかなりショックだよ」


 その後は美依の恋心は奥の奥の方へとしまい込んでとにかく信頼関係と友情を育むことに尽力する。こっちも、そんなこととは露とも思っていなかったので彼女らの策略は完全に成功していたと言えるだろう。


「それでもうそろそろ良いだろうって頃合いを見てわたしが智春くんのことが好き、みたいなムーブをかましたわけですよ」

「俺らはそれにまんまと引っかかったというわけか」


「そ。それにわたしが素を出さずに清楚系をずっと演じてきた本領を発揮するときが来たからね」

「それって意味あったの?」


 綾乃がいわば囮になることが最初から決まっていたならわざわざ清楚系を演じる必要性は感じないんだけど。


「やっぱり和亮はわかってなかったかぁ?」

 なんかがっくりされた。すごく癪に障る。


「あのね。今まで智春くんにアプローチしてきたのって清楚系だったり大人しそうだったりした子が多くなかった?」

「あー、あ、ああ。そう言われてみれば……」


 直近では石嶺さんなんかかわいい系の大人しそうな女の子だった気がする。


「でも中学の時に喧嘩した女の子たちって……」

「ほんと馬鹿ね。おとなしい子ほど爆発したときはおっかないのよ?」


 なるほど。確かに言われてみればそんな気がしてきた。だから意識を綾乃の方に常に向かせるようにおとなしめな女の子を演じてきたというのか。合点がいった。


「で、わたしが動くとすぐに和亮が動いたでしょ? でもあれ、ホントムカつくわね。いままでの女の子たちもおとなしい子だから大事に至らなかったけど、そうじゃなかったらあんた完全にシメられていたわよ」

「まじか……」


 その裏で恋愛とは関係ないですよーな立ち回りをしていた美依も智春の相談に乗っていたという話のようだ。恋愛感情を前面に出さなければ智春のガードは下がりっぱなしになるのは承知のことだったみたい。


「それで色々と相談をしているうちに、ね、智春くんのほうが美依のことを好きになってしまったみたいなの。週末の度にデートだったらしいわよ」

「あー思い当たる節がある。週末に智春のことを遊びに誘っても断られることが度々あったわぁ」


 つまりは俺の誘いは断って美依と楽しくやっていたということか。ま、智春が楽しんでいるなら文句はないけどな。


「でもそれって騙し討ちじゃないのか?」

「うん、それはごめん。だから美依もばか正直に智春くんに話しちゃったみたい。いま和亮に話したようなことを全部、ね」


「それでも智春は美依のことが好きだって?」

「らしいね。ものすごく惚気けられたもん」


 あの智春がね。へー、それはそれで面白いものが見られそうで俺も嬉しいかもしれない。


「正直、長い間騙され続けたのは面白くないしムカつくこともないわけじゃない。けど、友だちの幸せを思ってのことだと思うから……俺は許す」

「ありがとう」


 俺だって智春のためにっていって、ヤツのことを好きだって言ってくれていた女の子たちを排除して回っていたわけだし。要するに綾乃のやっていたことの真反対のことをやっていたわけだ。

 目的も結果も違うが、行動の根幹は綾乃も俺も一緒だったのだ。そんな俺が綾乃のことを批判なんてできやしない。


「んーじゃあ教室に帰るか。もう1限目もとっくに始まっちまったな」

「ねえ、何を話が全部終わったみたいな顔しているのよ」


「え? 終わりじゃないの?」

「まだ大事な話が残っているのよ。だ、だまって座って聞いてなさい」


 急にモジモジし始めたけどトイレにでも行きたくなったのだろうか。話が続くなら待っているから行ってきてもいいとは思うが、言うと怒られそうなので口を噤んでおく。


「なにか変なことでも考えていない?」

「……いや」

「ならいいけど……あのね。智春くんのことをリサーチしていたときに当然だけど和亮のことも調べさせてもらったの」


 俺のこと? 俺のことなんて調べても何も面白いことなんかないと思うのだけど。とはいえ何を調べたんだろう?


「まず家は智春くんの自宅のマンションから徒歩5分ぐらいのところにある一軒家で――」


 家族構成は共働きの両親に中学1年生の弟が一人の4人家族。猫を2匹飼っている。


「智春くんに優しいだけじゃなくて、弟くんにも優しくて困り事があると自分のことさえも放っておいて助けてあげたりする」


 確かに共働きの両親に代わって家事もやるし、不器用な弟のご飯も作ったりしている。そういうのも何故かバレていた。

 あと、一部の女の子たちには智春絡みで嫌われているけれど、男子とごく一部女子にも優しくて気が利いていると慕われているそうだ。そんなこと考えたこともなかったので綾乃に言われてなんだかむず痒い感じがしてならない。


「それで、調べれば調べるほど素敵な男の子だなぁって思って、そういう目で実際の和亮を見ていたら…………あのね……」

「なに? どうしたの? 顔が赤いけど調子でも悪いのか」

「ばかっ、違うって……あのね」

「うん」

「わたし……和亮のこと……好きになっちゃった……みたいなの」


 ………………ん? なんだって!?


「だからっ、好きなのっ和亮のことが。つ、付き合って欲しいなーって」

「何かの冗談?」

「本気ですー!!」


 綾乃はぎゅっと俺の腕に抱きついてくる。柔らかいし、いい匂いするし、それにとても……なんか嫌じゃない。


 あーこれは顔が見られないやつだ。


 なるほどー! 椅子が横並びなのはこれを見越してなのかぁ。なるほどー!


「猫かぶってない素を見せるのは和亮だからだよ。本当のわたしをみてもらいたかった、から……さ」

「お、おう。ギャップがあるけど、そういうのもいいと、おもう、よ」


 淑やかな綾乃も可愛いとは思っていたが、フランクな感じの彼女も魅力的に思える。


「どうだろう? 和亮。お付き合い、なんだけど」

「そ、そーだなぁ…………悪くは、ないかな……」


 センセイごめんなさい。

 1限目、このままブッチします……。



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