3話
というわけで冬も終わりに近付いた頃。
「伝令! 伝令!」
国に急報がもたらされました。
「隣の国でクーデタが起こり、王が失脚したそうです」
「そうすると、今夜到着するはずだった隣国の王とその軍隊はもう来ないってことだな?」
「いえ、それは国境の川向こうにもう姿を見せています」
「なんで!?」
けっこうな威容の軍勢が、関所のある川べりに集っていました。この小さな国などはその気を起こされればひとたまりもないでしょう。ちなみに国境とか関所とか言うと凄そうですが、王宮までここから歩いて十五分程度の距離であるに過ぎません。
「こちらに嫁いできている、第四姫は無事か?」
と、仮面の騎士が言い放ちました。
「……無事だ」
「その姿を見せてほしい」
「見せてもいいが、そういう貴殿はどこの何者か」
「第四姫と深いゆかりのある者で、わが国の新しい指導者だ」
「クーデタをやったってのはあんたか。仕方ない。来てくれ」
国王は何もかも観念したという顔で、騎士を自分の部屋に連れて行きました。
「ちくちくぴー、ちくちくぴー」
「これが嫁いできた姫だ。そちらの国の第四姫。煮ても焼いてもいない。ご覧の通り、生きておられる。まだこれ以上、何か文句はおありかな?」
するとそこで、仮面の騎士は仮面を脱ぎ捨てました。中から出てきたのは長い髪をした、たいそうな美少女でした。
「ピーちゃああああん!」
「ちくちくぴー、ちくちくぴー」
「は?」
「よかった! 生きてた!」
「ちくちくぴー、ちくちくぴー」
「へ?」
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