第51話

きのうとは別人のように大胆な彼女を見ながら、僕は考えていた。


(もう、彼女とは離れられない。どうしたらいいのか)


彼女は僕の側にいてくれるだろうか。

彼女を悲しませ、傷つけることになるだろう。

けれど、もう彼女と一秒でも離れることなど考えられなかった。

叶うなら、一緒に暮らしたいと思うほど、彼女を愛してしまっていた。


アサトは月子を組み敷だきながら、彼女を優しい眼差しで見下ろした。


「…アサ…ト?」


思いつめたような彼の表情の中に愛しているという思いが伝わってきた。


少女のようにまっすぐ見つめ返す彼女の顔にも、凛とした決心のような美しさが見て取れた。


初めてバイクで会った夜も、きのうの夜震えていた彼女も、もう影をひそめ、今はただ、まっすぐに愛を受け止め、伝えようとしている女性がそこにいた。


明日の夜便には乗らなければならない。


そんな思いを振り切るかのように、僕達は愛し合った。


何度も何度も……

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