第49話
「そうだよ。東京では見えないけれど同じ空だ」
「星がこんなにあるのなら、よく人が死ぬと星になるって、これだけあれば本当かもしれないですね」
月子は空を見つめポツリとつぶやいた。
「そうだね。でも逆に、今生きている人の星も、実は決まっているのかもしれないな」
「そっかぁ。そしたらアサトさんの星はどれだろう。きっと何年か一度現れる、流星だとおもいます。光っていてみんなが夢中になって、ずっと進んで、まだ帰ってくる」
「あははは、そうか、僕は流星か、じゃぁ月子は?」
僕は月子の純粋な星話を楽しんで聞いていた。
「わたし?わたしのは、あのへんにいつもいる小さい星かな。流星が通りかかって、あなたと出会った。奇跡みたいなことなの」
僕は彼女の手を握ると、
「僕達が出会ったのは…奇跡なんかじゃない。運命だって…思っているよ」
月子は静かに目を閉じ、誰にともなく祈った。
(私達の出会いに感謝します。とても幸せな時間をいただいて、ありがとうございます)
「どうした?」
月子は泣いていた。
「あまりの星の数に感動しちゃって、あは」
と濡れた瞳で笑顔を向けた。
僕は彼女が泣いた理由が少しわかっていた。
彼女を引き寄せると、
「月子。愛しているよ」
「わたしも…」
出会ったばかりだったが、素直な気持ちだった。
月子は、誰かに愛していると言われたことがなかったし、誰かに言ったこともなかった。
しかし、これが愛しているという気持ちだとしたら、なんて暖かくて、心揺さぶる言葉だろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます