第48話

冷えたシャンパンで乾杯をし、彼女が作った料理を食べ、僕は、心から和んでいた。穏やかな夜だった。


普段、彼の食事は外食か、家では専属のシェフが作っている。

月子の食事はシェフに勝るとも劣らない美味だった。


「とても料理が上手だね。どれも本当に美味しい。どこかで習ったことあるの?」

泡盛を飲みながらアサトが聞いた。


「いいえ、特に習ったこと無いけれど、母が料理好きなので、その影響かな。味付けはほとんど想像。だから、レシピも適当だし、二度と再現できない料理も多いの・・・でも、口に合ってよかったぁ」

恥じらいながら、彼女がニコッと笑った。


渋紅の浴衣にメガネがとてもよく似合っていた。


(本当に笑顔が可愛い人だ)


食事を終えると、彼は見せたいものがあると言い、月子を庭に連れ出した。


東屋まで行くと、


「見てごらん」

といって空を指した。


真っ暗な中、夜空を見上げると今まで見たこともないような無数の星が天にあった。

空にはこんなにも星があったのかと思うほど、びっしりと埋め尽くされている。


「・・・この空は、東京とおなじ空?」


彼女は不思議そうに言った。

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