第43話

那覇に到着すると、今度はVIP席の乗客から降ろされた。

特に顔が世間に知られている場合には、混乱を避けるためか一番先に下ろされ、一般とは違う出口から出て行くようだった。


二人は足早に、飛行機から降りるとロビーを走った。

途中、すれ違った旅行客の何人かが、

(あっ)

と言って振り返った。


専用の通用口まで案内されると、待機してある車に飛び込んだ。


「ハァ…ごめんね、バタバタで、大丈夫?」


「…ふぁ…い…ハァハァ」

月子は肩で息をしながら、まともに返事が出来なかったが、


「…案外…ハァハァ…楽しかったです」

と笑顔を見せた。


実際、こんな非日常的な経験をすることはなかったので、月子は楽しんでいた。


(でも、いっつもこれだったら、大変だろうな)

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