第32話

彼女はほとんど経験が無いのかもしれない。

さっき自分がどうなったかさえわかっていない様子だった。


(なんて、ことだ)


「僕の目を見て」


泣いている彼女を優しくなだめる。


泣き顔の彼女は僕の顔を見ながら、再び目を閉じた。

これ以上続けると、彼女を滅茶苦茶に壊してしまいそうだった。


けれど、僕はやめなかった。

これが僕の愛し方だから。


彼女は戸惑い、彼にしがみつき、また泣いた。


僕は果てしなく・・・。

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