第23話

アサトは、今日も精力的に仕事に取り組んでいた。


普段は穏やかな人柄であるが、仕事に入るととても厳しく、時には怒ったりも日常茶飯事だった。


そのため、職場にはある一定の緊張感が保たれ、スタッフに一体感が生まれる。


仕事は不規則で、一日中のときもあった。たいていは昼頃から夜中まで続くことが常だった。


今は比較的自由に時間を作れる時期なので、アサトはいつになくのんびりと仕事をこなしていった。


夕方、クライアントとの打ち合わせが終わると、いつもそうだが、仲間から食事に誘われた。


「そろそろ食事に行きましょうか?」


彼はすまし顔で丁重に断ると、仕事場をあとにした。


彼の友人は珍しく鼻歌交じりで出て行くご機嫌な彼を見て、


(さては…新しい女だな)

と直感した。


それにしても、あんなにウキウキしながら出かける彼は最近では見たことがなかった。

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