闇と香水
第7話
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バイクの集団は爆音を響かせながらサービスエリア内を何週かすると、なぜか月子のバイクを囲むように無造作に駐車したため、
あっという間に彼女のバイクは埋もれてしまった。
その様子を、離れたベンチからあっけにとられて月子は見ているしかなかった。
(ひぃー、どうしょう!あんなに横にも後ろにも停められたら、バイク出せないよ、ただでさえ苦手なのに……)
月子はもう仕方がないので、あの集団が去るまでしばらく身を潜めて待つしかないなと観念した。
(あの人達、暴走族じゃなさそうだけれど…)
集団はアメリカンが半分で、かなり手の込んだ車体に改造してある。
(でも、イカツイし…なんかちょっと怖いよー)
月子のノーマルの新車が珍しいのか、男たちはバイクを囲み、しきりに見入ってガヤガヤと大声で何か話している。
そのうち、缶コーヒーとタバコをくわえた数人が、ベンチにいる月子に気づき、ゆっくりと近づいてきた。
あのバイクが彼女のものだと気づいたようだ。
月子はベンチで固くなっていた。
(やだ!あの人たち近づいてくる、なんで?!お巡りさーん!)
男の中の一人がニヤニヤしながら月子に話しかけてきた。
「こーんばーんはー、ずいぶん素敵な大きなバイクに乗ってるんだね、こんな夜中に一人でツーリング?」
スキンヘッドの男が、
「こんな夜にどこ行くの?どこに住んでいるの?」
「ヒマなの?よかったら俺たちと一緒に走ろうよ?」
「俺たちは安全だよぉ、ガハハハ」
それぞれが、勝手なことを言ってくる。
(や、やだ、なんか、怖いー!)
月子か何も言えずに俯いていると、
一人の男が彼女の顔を覗き込み、
「しかし驚いたなぁ、こんなところで美人ライダーに会えるなんてさぁ、うひひ、ひとりはあぶないからさぁ、一緒に俺たちと行こうよぉ」
舐め回すように月子を見ながら、馴れ馴れしく月子の横に座り彼女の顔をのぞきこんでくる。
(・・・き、きもちわるい、どうしよう・・・)
月子が体をこわばらせたその時、
「・・・待たせてごめんな」
と、黒いヘルメットの男がゆっくりとこちらに近づいて来た。
一瞬、月子は何が何だかわからなかったが、
(だれっ?だれを待たせたって?はっ?もしかして、さっきの先導さん。。。?私を、助けに来てくれたの?かな?いや、こいつらの仲間かもしれないよー!うわーん)
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僕は、ベンチで固まっている黒髪の女性の腕をとった。
彼女は一瞬抵抗するように腕を引いたが、すぐに僕がこいつらの仲間じゃないと思ったのか、それとも観念したのか無言で僕に調子を合わせ寄り添い歩いた。
彼女のバイクに向かって、まるで恋人同士のように。
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