第4話
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出発当日は、宮殿の前に特殊列車が現れました。小さな列車は、みずみずしいみかんのような色で、フサコは胸が高鳴りました。山じいと瀬名先生に誘導されて、子供たちが次々に列車に乗り込んでいきます。フサコの順番がきて慌てて斜めがけのカバンの中から切符を取り出すと、車掌の人に渡しました。
時空間移動のため列車の窓は閉め切っています。向かい合わせに座った子供たちは、はじめての列車の旅に興奮するよりも、その場は静かでした。
川の街に到着すると、ひっそりとした緩やかな川の流れがありました。子供たちは、大喜びで、それぞれ泳ぎ始めました。フサコは、新鮮な空気と澄んだ川の流れを初めて見て、ずっと見ていても飽きないくらい、川が好きになりました。そばには、天然の石が転がっていて、フサコは、ひとつひとつ見比べて遊びました。
時間が経っても、子供たちは川遊びに夢中です。タカヨシとエリとフサコは泳げない代わりに、静かに川の流れを見ていましたが、タカヨシが目を輝かせました。
「今、向こう側の街のほうで何か光ったよ。こっそり街のほうまで探検してみようぜ」
「そうね。ここに座っていても面白くないし」
二人は立ち上がりました。フサコは、気乗りしません。
「瀬名先生に怒られるよ」
「すぐに戻ってくれば大丈夫さ。せっかくここに来たのに、俺たちだけ楽しめなかったら悲しいじゃん」
エリも同調して、
「ほんとう、そうよね。さあ、行こうよ」
とフサコを促しました。フサコは、よろよろと立ちあがって、二人の後ろについて歩きました。
魂の世界線 とかげくん @fool727
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