第89話
「…………また、泣いてんの?」
「あ…。浜崎君。
まだ、帰ってなかったんだね?」
「……まぁ」
今日も、長谷川は泣いている。
でも今日は、笑っていた。
苦しそうに、笑っていた。
「………何で泣いてんの?」
「え?」
「……無理やりされそうになってるときは、睨み返してただろ。
なのに、何で今泣いてるわけ?」
「あ…え、っと…」
長谷川は、困ったような表情をした。
やっぱり、聞かない方が良かったか。
撤回しようと口を開いたところで、それに気づいた長谷川が先に口を開く。
「嬉しかったから、だよ」
「昨日も一昨(おととい)も?」
「うん。……すごく、嬉しかったから」
「………泣くほど嬉しいことが、3日も続いたわけ?」
「うーん…。
一昨日(おととい)の嬉しさがまだ残っててって感じかなぁ」
「………一昨日の嬉しさ、すごいな」
「あはは。……だね」
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