第81話

「……レイちゃんって、聞こえたから」


「は…?………あ」




はっとしたように章弘が自分の口を片手で覆った。

やばい、という顔をしている。



長谷川も、動揺したように瞳を揺らしていた。







そこで俺は、わかってしまった。










この2人は、俺に何か、隠してる。


そしてそれは、たぶん、












俺にとって良い意味を持たない、何か。
















思わず嘲笑が漏れる。


この2人に向かってではない。

自分に向けて。





記憶のない俺がこの2人に会って3日。





俺は、何を期待きていたのだろう。

だいたい、恋人だった女があんな人間だったのだ。


自称親友とその友達がどんな人間だったかなんて、そこから簡単に考えられる。








記憶のない俺は、やっぱり誰にも受け入れられてなどいなかったのだ。

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