第80話

「えっ!」


「はっ⁉︎えっ、レイちゃん⁉︎」



「……………」







黒板側、1番前の、窓側の席。


その机に腰かけた章弘と。





窓辺に立ってボロボロと泣く長谷川がいた。









強姦されて泣かなかった彼女は、昨日俺に助けられた後に泣いた。


でもその表情は、



恐怖とか安堵ではなく、









どこか、嬉しそうな涙だったのだ。













それなのに今、彼女は苦しそうに泣いている。













いじめで苦しんでいたくせに、いじめが終わった今、苦しそうに泣いている。













それが何故か、わからなかった。

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