第77話

立ち上がってカバンを肩にかけ、教室を出た。


ゆっくりと廊下を歩き、昇降口へ向かう。








ハッ、と苦笑が漏れた。

記憶を失う前の俺は、ずいぶん女の趣味が悪かったらしい。



自分で巻いた種なんだろうに、覚えていないのだから他人がしたようにしか感じない。


恨みたくもなる。







でもこれで、もう恋人としての俺を無理やりやらさられることはなくなるのだ。



登下校や、キス、行為も。













胸が冷たくなるような、

もやもやとした、空虚な感覚が広がった。











「………寒いな」













苦笑が漏れた。

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