第53話
さっさと下足に履き替え、校門を抜けた。
雨が、降っている。
骨折はしなかったものの、打撲と擦り傷が大量にある体は、こんな日によく痛む。
それに…
曇りとともに現れる、この重苦しい空気が、
記憶のない俺を責め立てるのだ。
思い出せ、思い出せ、と。
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