家族に、

ーーーー愛されずに育ち。

恋人に、

ーーーー愛されずに愛し。

恋人の彼氏に、

ーーーー憎まれながら、人を愛す心で持って受

けいれ。

ただ唯一、自分だけを愛せなかった。

「……ごめん。ごめんな。こんなこと、誰にも言えなかったのにな。君に、押し付けてしまった。ごめんな」

赤の他人である、私にまで。

人を愛する心でこの男は、謝るのだ。

ただ聞いてほしい。

それを思う自分さえ許せない、悲しい人。

ーーーーーポタリ、ポタリ

耐えきれない思いが、愛が。

ーーーーーポタリ、ポタリ

美しい心が、瞳からこぼれ落ちる。

こんなに美しい涙があるのかと

こんなに美しい心があるのかと

私にも確かに心というものがあったのだと実感させるように。

ーーーー心が震えた。

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