第10話

「独り暮らし?」



こくりと頷くと、そっかとポツリと縁は呟いた。帰り道、私は涙が止まらず、そんな私の背を縁は撫で続けた。家に着くと、ソファーに座らせてくれ、縁は正面に立つ。



「ねぇ、連絡先、教えてよ」



ガタガタと震えながら、頭の中は恐怖に支配されている。逆らえば、何をされるかわからない。


だって、今日は最悪な日だ。

何かをすると、したぶんだけ失敗してる。

混乱と恐怖、パニックに陥った頭も心も正常に機能せず、私はメールアドレスと携帯の番号を教えてしまった。




縁は満足そうに笑うと、私に近づいてくる。

肩に手を置かれ、思わず体がビクリと反応する。それを見て、戸惑ったように一度手を離してくれたが、一息つくと、その腕でゆっくり私を抱きしめた。



「怖い?」



ガタガタと震えが止まらず、怖いと言ったらどうなるのかと頭がいっぱいだった。



「ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」



涙も震えも止まらない私をしっかりと、だけど優しく抱きしめ、撫でてくれる。


その温かさに、少しずつ落ち着いてくると、震えは少しずつ収まりった。

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