第8話
「ダメ」
ふわりと体が持ち上がった。私をここに連れて来た男が、私の体を起こして抱きしめている。
「はぁー?んだよ、独り占めってかぁー?」
「うん。独り占め。食べるために連れて来たんじゃない」
「服破っておいて何言ってんだよ」
男たちがゲラゲラと笑う。低い声が暗闇に響き、体にも響く。その振動が怖い。
「甘い匂いが、したから。つい」
私をここに連れて来た男が、少しうつむき、そのあと私を見る。
「俺は縁(えにし)。ねぇ、名前、教えて?」
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