第159話
「えっ!り、璃久っ…⁉︎」
そうだ。
なんてバカなんだ。
決めたばかりだったのに。
幸架に聞いてみようって、決めたばかりだったのに。
最後に会えた時、一つでも聞いてみればよかった。
なんで訊かなかったんだろう。
どうして、聞いてやろうとしなかったんだろう。
本当は苦しかったはずなのに。
伝えたかったはずなのに。
ずっと1人で泣きながら笑っていた幸架を、
私はまた、独りにしてしまったんだ。
溢れ出したものは、止められなかった。
躊躇いがちに、澄人が私を抱きしめる。
「璃久…。なんで、泣いてんの?
そんなに苦しかった?」
「(………違う。違うんだよ。…違う、んだ)」
「俺でよければ、なんでも聞くから。
…言いたくなければ言わなくていいけど…」
「(…っ、違うんだよ。
私が、…私がきっと、他の誰よりも、…っ)」
幸架を、孤独にさせたのは。
私だった。
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