第153話


〜・〜



その日はそれでお開きになり、明日一緒に猟に行こうと言われた。


ひさびさに銃を持ったせいか、それが撃てるとと思ったからか、思わず即答で了承してしまった。





家に帰り、その話をミツナと間宮にすると、にこにこ嬉しそうに私の手話を見てくれた。





そしてあっという間に夜になり、シャワーも済ませて自室へ戻った。


いつものようにナイフと銃、ライフルの手入れをする。





「(……………)」









──璃久さん。いつも丁寧に手入れしてますよね。


──まぁな。いざって時に撃てないってのな怖ーから。


──たしかに…。


──ってか、幸架はいつ手入れしてんだ?


──それは秘密です。


──はー?なんでだよ。


──なんとなく、ですよ。










何をしていても、脳裏に20年間の記憶が蘇ってくる。


手入れが終わってベッドに入っても、やっぱり脳裏に浮かぶのは幸架の声で。





横になっても、なかなか寝付くことができない。

ようやく眠れたと思っても、1時間後には必ず

目がさめる。






それは今日も同じだ。

嫌な汗と動悸、意識せず荒くなる呼吸に、

ベッドの上で自分を抱きしめ、うずくまる。


1人の夜は、心細い。












幸架は今頃、どうしてるんだろう。










考えたくないことが次から次へと頭の中を巡っていく。


そうして今日も、眠れないままいつの間にか登った朝日。





私は今日も、ミツナと間宮に笑って見せるのだ。








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