第104話
「…………確認してくる」
「頼んだ」
開理が退出し、如月に電話をかけに外へ出た。
木田も立ち上がり、近くにいた組員に話しかけ始める。
俺もその間に頭を整理することにした。
まず時系列。
5月11日
璃久に暴行。俺は家を出た。
5月12日
12時44分 ターゲットが某ホテルに到着
12時46分 aがターゲットと接触
12時47分 ターゲットがaの手を引き部屋へ
12時55分 俺がホテルに到着
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16時22分 ターゲットの部屋に蜘蛛組員突入
5月13日
梓失踪。
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5月26日
俺と、木田たちルナが接触。
騒ぎを起こした後、ここに拘束された。
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6月20日
俺の意識が戻る。
親則がアズサ捜索依頼に来る。
ざっとまぁこんな感じか。
自分の記憶に漏れがないかを確認しようと、パソコン画面に視線を戻しす。
……漏れはないようだ。
木田は考え込むようにパソコンを覗き込み、鋭い瞳でじっと見つめていた。
と、そこで開理も戻ってきた。
聞いたことをメモしてきたらしい手帳を掲げ、椅子に座る。
「電話、してきた」
「なんだって?」
「確かに、5月12日に蜘蛛がグランドホテルに突入した記録がある、だとよ。
その詳細についても聞いてきた」
開理が椅子に座り、メモをしたらしい手帳を開いて俺らに見せた。
「ターゲットの名前は
ただ、昔けっこう稼いだみたいで金はいらないと。
それで情報取きの際に要求するのが金ではなく女にしてるって、変わった情報屋だな」
カタン、と音がして顔を上げると、組員の1人が部屋に入ってきたところだった。
そしてそのまま紙を開理に手渡した。
「これが、佐々木白露の写真だ。
さっき調べてもらってきた」
覗き込むと、依頼時に渡された写真と同一人物が印刷されていた。
年は推定40代。
異常性嗜好者で、征服欲求が強い。
白露と情報取引の際交換された女は、帰ってくると見るも無残な姿にされるらしい。
そして、その後の人生は廃人まっしぐらだとか。
だから、白露と取引する時に引き渡される女は、大抵的組織のスパイなどの捕獲した女を渡すことが多かったらしい。
「で、蜘蛛が突入した理由は?」
木田が開理の手帳から視線をあげた。
開理はその質問に答える。
「電話が来たらしい。
若い女の声だったそうだ。声質はアルトくらいだったとか」
「内容は?」
「"都内グランドホテル607。白露"と。
一方的にそう言われて切られたらしい。
電話を取った組員は、白露が人であるのか場所であるのかも分からなかったらしくてな。
近くにいた三番隊隊長に声をかけたらしい」
「なるほど。
で、三番隊隊長か白露を知っていて、大急ぎで如月に出動要請って流れだな」
「なるほど。……で、白露はどんな状態だったんだ?」
「……………聞きたいのか」
「……………そんなに酷い死体だったのか」
「いや、生きてる」
「じゃあ言えよ」
「…………」
はぁ、とため息をついながら、開理は思い出したくもなさそうな表情で如月から聞いた話を話し始めた。
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