第46話



「(ゲームスタートしたはいーけど、無闇矢鱈(むやみやたら)当ててくってわけじゃねーんだろ?)」


「それでもいいし、直球で聞いてもらってもいいし。少しずつ引き出して当ててくれてもいいよ」


「(…………それ、本当にゲームなのか?)」


「お互い、勝てたら何か要求できることにしよう」


「(簡単にそんなこと言っていーのか?

私が極悪最低非人道的外道をまっしぐらなヤツだったらどーすんの)」


「それはないから大丈夫」


「(すごい自信だなー)」


「まぁね。

お姉さんみたいな人は、僕みたいな一般人なんかに何かするような人じゃないよ」


「(……私のこと知ってるみてーな口調だな。

一言も私の話なんてしてないと思うけど?)」


「別に聞かなくたってヒントはごろごろ転がってたからね」







クスクスと笑うアズサを見て、私で遊んでるのか!と言いたくなること多々である。


でも不思議なことに、イラっとはするものの嫌いにはならない。




女取り巻きに終われる理由も、なんとなく察しがついた。






「(直球で聞いてもいーって言ったけど、答えてくれるのか?)」


「気分による」


「(うわー…)」






なんだこの人…。

超扱いずれぇー…。


でも駄目元で聞いてみよう





「(………あんた、何歳?)」


「19だよ」


「(へぇー…)」








………………………。
















…………………………?















……………!?!?!?















おいいいいいいいい!!!!


い、今、今ぁぁ!!!




この人、さらっと答え言わなかったか⁉︎






バッとアズサのほうを向けば、百面相する私を見て楽しそうに笑っていた。








「あぁ〜、お姉さん、マジウケるわ。

何その顔芸。僕を笑い死にさせたいの?」


「(いっ、いやいやいやいや!

おかしーだろ!

これじゃ何の勝負にもなってねーよ!)」


「えー…。直球で聞いてきたから答えたのに」





思わず頭を抱えた。

意図せずアズサの年齢を知ることとなる。



というか、19歳か。

私と1つしか違わないんだな。






「嘘ついてるかどうか、疑わないの?」


「(嘘ついてないのくらいわかる)」


「どうやって?」


「(視線とか、態度とか、次の言葉の響きとかで、たいていはわかる)」


「ふーん…」






はぁとため息をついてぼんやりとしていた時だった。

アズサが、クスリと笑う。




さっきから笑ってはいたが、突然雰囲気が変わった。ら




怪訝に思いつつアズサに視線を向けてみれば、心底楽しげに笑っている。





「(なんだよ)」


「いや〜、お姉さんは面白いね」


「(何が?)」


「僕もね、嘘を暴くの得意なんだ」


「(嫌な特技だな)」


「よく言われる。で、お姉さん」






アズサが、にっこりと笑った。








「今の、嘘でしょ」


「…………っ…」














アズサは、クスクスと笑っている。







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