第38話




「さっ、ち、……っ、…」





ダメだ。

私のことなんて一ミリも見えていない。





それに、私は知っている。






私の嘘は、"幸架に通じない"。










「わっ、か、………た、……」


「何がですか?」


「に、………げ……っ、な、……」







どの道逃げる方法などない。

両腕右足骨折、左足の腱切断。



そしてたぶん、圧迫され続けたせいで肋(あばら)も数本やられている。






こんな体で逃げられるわけがない。

逃げたとして、捕まるのがオチだ。



声になっていない音で、わかった、わかったからと何度も繰り返す。








「…………いいですよ。

じゃあ今日は、これで終わりにしましょう」



「………ぅ"っあ"ぁぁっ!!!」










幸架の動きが早まる。


私の両手首を掴む力もかなりきつい。





激痛と快楽の中、






私はあっさりと意識を飛ばされた。








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