第24話




「何だ?」


「さっき、璃久さんはどうして受付のお姉さんを庇ってんですか?」


「あっ!それ、私も気になった!」






悠の質問に、全員が頷く。

不思議そうな視線を全員から向けられるのは、居心地が悪い。






「別に。気まぐれ」


「えっ…。気まぐれで助けるとか…。

超イケメンッ!」


「おい。凪流」


「璃久さん、心広すぎますね!

私なら絶対助けないなぁ〜。

むしろ、顔面グーパンチかます…」



「「「「…………………」」」」







女って、怖い…









そんな話をワイワイしている間に凪流の家に着いた。

今日は3人でお泊まりするらしい。






「じゃーな」


「何かあれば、気軽に連絡してください」


「あぁ。助かるよ。

幸架さんと璃久さんも、忙しいこととか危険なことあるだろうけど、気をつけてな」


「またねー!またたくさん話そうねー!」


「ありがとうございました」






3人は、車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。


それをミラー越しに見て、思わず笑ってしまった。











「……………璃久さん」


「んー?」


「受付の…愛菜さんを庇ったのは、気まぐれではないでしょう?」


「………………」


「何故ですか」









前を見つめたまま、幸架に問いかけられる。


私は再び車窓を眺めた。





移りゆく景色。

進む道。

変わる空気。







「…………別に。庇ったつもりはない」


「結果的に見れば庇っていますよ」


「…………私も言いすぎたから。

これでおあいこ、だろ?」


「…………ふふっ。なるほど。

璃久さんなりの謝罪、ですか」


「そーそー。そーゆーこと」







一応これでも反省しているのだ。


男ばかりの場所にいたせいで、女にどう会話をすればいいのかんからない。





男であれば、善悪をはっきり言わなければ伝わらない。

回りくどく言う方が面倒くさがられる上、聞いてさえもらえなくなる。



理屈を通し、相手と自分の非は認め、自分と相手の正しさも認める。






ずっとそうしてきた。


だから、恋愛の絡んだ女の説得なんてことはしたことがない。




追い払う程度はしてきたが、今回のような騒ぎに発展することはなかった。






だからこそ、どう対応していいかわからずに、

一般的に言うきつい対応をしてしまった。




で、そのタイミングで如月、開理、木田の登場。





あの女の言い分を受け入れたつもりはないが、たかがあの程度の小競り合いで死ねばいいとまでは思わない。



だから、話をうやむやにしてきた。







私の行動の意味を、木田も如月も理解している。

だから愛菜をどうこうするつもりはないだろう。



………まぁ、次はないだろうけど。










私たちは、そのままマンションに戻った。







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