第14話
「よぉ!元気か?」
「お久しぶりです、楽生さん」
エレベーターで25階に行くと、開理がそこで待っていた。
彼の手には缶コーヒーがある。
ちょうど休憩に入っていたようだ。
「後ろにいんのはゼロの友達か?」
「あ……はっ、はい!凪流です!
こっちが奏多、こっちが悠ですっ!」
「あはは。元気いいね、若い若い」
「そんなー!楽生さん、ですよね?」
「あぁ」
「ぃ………」
「「「「い?」」」」
突然うつむき、凪流がブルブルと震えだす。
奏多を除く全員で首を傾げた。
「………いい〜!!めちゃくちゃいいー!」
「え?な、何が?」
「………おい凪流…。
こんなところで醜態晒すのやめろよ…」
「だってめっちゃイケメンじゃん!
何々⁉︎裏社会ってイケメンで構成されてるの⁉︎」
「え、えっと?」
「めっちゃ髪サラサラ!どうやって手入れしたらこんなに綺麗になるの⁉︎
私なんて…何度手入れしてもガサガサ…。
悔しいー!でも美しいー!」
「凪流…もうやめてくれ…」
暴走を続ける彼女を止められるものは、もういない。
あっちゃー…という顔の悠と、絶望した表情の奏多。
引きつった笑みの開理に、苦笑いの私と幸架。
「おい。何騒いでんだ」
「えっ⁉︎イケメンを超えたイケメン⁉︎」
「はぁ?」
しかも、このタイミングで木田登場。
「や……やばい……
奏多!すごいよ!ここはイケメン万歳王国だ!」
「凪流…ここ、どこだかわかってんなら黙ろうぜ…」
「うん。凪流、落ち着いて」
「無理に決まってるじゃない!
見て、このお方。
ダークブラウンのサラサラヘアーに、左3つ、右2つのピアス!
しかもよく見たらけっこう体つきどストライクなんだけど⁉︎」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!
もうやめろぉぉぉぉぉ!!!」
ギャーギャーと騒ぎ立てる凪流に、木田は引いた表情で指を指し、私も幸架に問いかける。
「…………大丈夫か?こいつら」
超興奮状態の凪流に、発狂寸前の奏多。
もう止めることを諦めた悠は、はぁ、と呆れたようにため息をついた。
私たちも苦笑する。
「あ、あなた様はっ!
何というお名前なんですか!」
「あ?俺?」
「はいぃっ!」
「…………」
くだらなそうに、木田は凪流を見下ろした。
盲目になっている彼女には、そんなことは関係なさそうだ。
それに気づいた木田が、いたずらっぽく笑う。
………これは…。
もしかしなくとも、この笑みは…。
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