第10話

 第四ステージは学園だった。

 なんとなくそうなるような気がしていた。


「次の対戦相手はコイツらだ!」海賊ウサギは叫んだ。


 そこにはこのゲームで名前のあるキャラクターが勢揃いしていた。 

 そしてそこにモブ子とモブ夫の姿は無かった。


「良かった」と呟くもキャラクター全員が相手という意味を掴みかねた。


「次は集団戦だぜ」と言いつつ海賊ウサギは教室の窓に掛かるカーテンを開けた。「今から隣国の王子であるミカエルを人質にテロリストが乱入してくる。そいつらを撃退した奴が勝利者だぜ! 勝った奴が真のスパダリだぜ!」


 ルールがテキトーになってきた。

 そして学園の門の近くに軍用車がいくつも停まる。そこから銃を構えた男達が何人も出てきた。


 やはりこのルートになったか。ミニゲームとしてのデスゲームとは別に本ルートでも一種のデスゲームが存在する。

 ここのバッドエンドでは名前のあるキャラは全員死ぬ。

 グッドエンドですらもエリアナともう一人のスパダリが生き残り後悔の果てに人生を終えるという鬱エンドに近い筋書きだ。 


 これ、乙女ゲームか?


「まさかここで役に立とうとはな」と悟くんは前のステージで手にした散弾銃を見て言った。


「イヤイヤイヤ、あの数見たでしょ? 無理でしょ」

 私は悟くんの真顔に恐怖すら覚えて言った。


「確かに直ぐには使えない。隠しておこう」

 そう言って悟くんは掃除用具入れに散弾銃を隠した。


「ミカエル王子とやらは何処にいる?」と悟くんはミカエル王子を呼んだ。「来てくれ」


 いや、最初のステージでグーパンチした相手を忘れているの?


 案の定、ミカエル王子は怯えながら近づいてきた。

「僕のせいですまない」と悟くんと顔合わせする前に皆に頭を下げた。


「気にするな。それよりこっちだ」悟くんはミカエルを連れて教室を出て行った。


 責任の所在を追求しないのは流石だと悟くんの言動を少し見直した。

 やがて二人は帰ってくると意外な事にそのまま待機していた。てっきりミカエル王子を何処ぞに逃すかと思っていた。


「さあ、第四ステージ開始だぜ!」と海賊ウサギは叫んだ。


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