生まれ変わり

 圭吾は気がつくと、果てしない暗闇の中にいた。

 そこを星のような小さな無数の光が横切って流れていく。

 流星群を撮った映像を早送りにしたような光景だ。

(何なんだ、ここは?)

(ああ、そうだ、俺は刺されたんだ。 きっともう死んでるんだ)

 周囲に浮かぶ無数の光を見て、あれは死んでしまった人間の魂の群れだと直感した。

 この小さな光の粒の一つ一つに感情があり、記憶があり、それぞれの人生があったものだ。

 自分もこの光の一つになっているのだろう。

 光ははるか遠くの闇まで流れ、どこに行き着くのか確かめることはできない。

 あの流れる先には次の人生がある。そんな気がする。

 魂は輪廻して、今は以前の人生の終わりと次の人生の始まりのはざまにいる、それを見ているのだと思う。

 自分も次の人生に向かうのだろう。

 やがて圭吾の意識は途絶えた。


 圭吾の魂は別の世界の命に生まれ変わり、イーゴと名付けられた。

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