【織田信長・大友宗麟】信長の野望〜世界征服への序章〜

「次は九州の大友宗麟だな」



 信長は関門海峡越しに九州を見据えていた。大友宗麟はキリシタン大名だ。これが大きな問題だった。信長は鉄砲などの輸入や貿易のために、キリスト教を保護している。つまり、ここで大友宗麟を酷く痛めつけると、スペインやポルトガルから反発を受ける。それだけは避けなければならない。信長の好みではないが、無血開城が最善だろう。



 では、どうやって無血開城に持ち込むか。無論、武力による脅しによってだ。朝倉の時は物理的に潰したが、今回は居城の上を浮遊することが限界だ。そうだとしても、効果は絶大だろう。


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「これが噂の安土城か……」



 宗麟は空に浮かぶ、その圧倒的存在に動揺した。これが相手なら、信長が連戦連勝なのも納得できる。



「殿、どうされますか? 信長からは降伏せよとの書状が届きましたが」



 宗麟は書状が届く前から、降伏することを心に決めていた。確かに、徹底抗戦することもできる。しかし、朝倉氏と同じで、城ごと潰されるに違いない。それでは民が大勢死ぬことになる。それだけは避けたかった。



「すぐさま、信長へ降伏の意を伝えよ」



 宗麟は己の無力さを感じながらそう言った。


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「しかし、大友に続き、島津もあっけなく降伏したな。まあ、当たり前かもしれないが」



 島津の降伏もまた、信長にとっては計算通りの結果であった。もはや、彼の軍勢に対抗できる勢力は国内には存在しない。



「殿、これで全国平定ですね」秀吉はニコニコしながら手を揉む。



「いや、最後の仕上げが残っている。天皇陛下を祭り上げて、国の安定を図る」



 信長の頭には全国平定後の青写真があった。世界征服である。そのためにも、自分の後継者である信忠が政権運営をしやすくする必要があった。本来であれば、秀吉に任せたかったが、世界征服するには彼の手助けが必要だ。秀吉にそう伝えると破顔した。「殿に頼りにされて幸せでございます」と。



 信長は全国を平定した。しかし、これは信長伝説の序章に過ぎない。この後も信長の快進撃は続くに違いない。浮遊する安土城と共に。

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織田信長、浮遊する安土城と共に全国を平定する 雨宮 徹@クロユリの花束を君に💐 @AmemiyaTooru1993

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