第11話『この聖剣不良品だわ』
え?なんか今、すっごく失礼なこと言われたような……まぁいいや。
せっかく手に入れた聖剣アポロがなーんでか契約できなかったけど、うん、多分それとは関係ないよね?うん、関係ないない
「うーん、不具合かな?よし、改めて……アポロ、今日からボクがお前の主人だ!ぼーくーがおまえのしゅじんだからなーーー!」
(なんどやっても同じこと……我が貴殿を選ぶことはない)
……やっぱりこの声、アポロから伝達されてるな。は?何?聖剣って制作者の声が録音されてるんじゃなくて意思を持って喋るの?キモくない?
(キモくないわ無礼者。よいか?この剣を使いたいのであれば、まずその腐った性根を治せ)
「ああ!?!?なんつったいま!?」
誰の性根が腐ってるって!?!?
「あ、あのリュシオル様……何か聞こえているのですか?」
「うっさい黙ってろ!!!」
「はい」
(そういうところだぞ)
「どういうところだこのクソボケ!!」
(そういうところもだ)
「うるせーーーーーーーーー!!!」
「リュシオル様……?」
やめろアホのルズ。そんな悲しそうな目で見るな。魔法ではっ倒すぞ。
ッチ。
にしても……んだよ使えないって!?はぁ?どういうこと??何が原因な訳??体質??魔力の性質??遺伝子情報???
ふーーっ!ふーーーっ!!
どれにしたってこのボクに不足なんてないだろ!!天才魔術師だぞ??S級冒険者だぞ???いっとくけど作戦とか謀略なしでドンパチやってボクより強いやついないからな??
あーーーーーー!!!!せっかく気分よかったのに台無しだ!!!
(ふん、そのようにたやすく激情に駆られるようでは未熟よの。言っておくが我は、体質や魔力の性質で貴殿を拒んでいるわけではない)
「ああん?」
(聖剣は持つものの魂の在り方を見定め、
なんだ不良品か。いらね。
「アホキラキラ、これやる」
「え?」
(あ、おいまだ話はっ)
ひょい
(投げるなーーーーー!!)
うるせーな。あとで伝達魔法の受信切っとこ。
アポロはいい感じの放物線を描いて、ルズの手元に落っこちる。お、ルズ選手ナイスキャッチ。
「これを、オレにですか?」
「おー。やるやる。好きに使えー」
使えないもんを持っててもしょうがないしね〜。
(おい!聖剣である我を粗末に投げつけるとはどういう了見だ!我は古代の大いなる──)
ぅうるっせぇーーーーーーーー!!聖剣だかなんだか知らないけど持ち主を選ぶ剣があってたまるか!!武器ってのは誰であっても、充分な技量があって正しい手順を踏めば同じ効果を出せるもんだろーーーーが!!!!大事にされたきゃ大人しく使われろこのポンコツ遺物!!
(な!?きっさまぁーーーー!!この我に言うことかいてポンコツだとーーーー!?!?そういう自己中心的なところをなおせと言ってるんだたわけ!!)
お、心読めるのか。キモ。ウザ。でもちょうどいいや。
(余計なお世話だボケ聖剣!!!!言っとくけどお前に刻まれた魔法だの奥義だのちょっとボクが解析すれば簡単にコピーできるんだからな!?!?人間様に振るってもらえないとただのナマクラの分際で調子こいてんじゃねー!!!!質屋に二束三文で売り飛ばしてやってもいいんだからな!!!!)
(なーにが人間様だ!!貴様のような濁りに濁った毎秒揺れ動いている魂の持ち主に使われるよりは質屋のほうがマシであるわ!!腐っても我は12聖剣が一振り──)
あーあーうるさいうるさい。伝達魔法着拒〜
(あ!ザザ……こらっ……ザザ……遮断防壁を張るなっ……ザザ……──プツン
やーっと静かになった。
「えっと、リュシオル様……大声を出していらっしゃったかと思ったら……こんどはずっと沈黙されていますが……は、もしや新手の敵を感知していたのですか!?く……それに気づかないとはオレも未熟ですね……して、敵はどこに!?」
おっと、ムカつきすぎてアホのルズを存在から忘れてた。ボクが投げ渡した聖剣アホロ、じゃなかったアポロを抱えながら、怪訝そうな顔をしている。
「うっさいな。別に敵なんていないし。ちょっと取り込み中だったんだよ」
「そうだったのですね。それは失礼いたしました。……しかし、本当によろしいのですか?」希少な剣なのでしょう?それをオレなどに……」
「まーーーーねーーー??よく考えたら魔術師のボクが剣振り回してえっちらおっちら戦う意味もないしーーーーー??オマエみたいなアホの猪剣士にお似合いかなーーーーってねーーーー??」
「つまり、俺に似合うと思ってプレゼントしてくれたということですか……そんな、なんてもったいない……」
すごい超解釈だな。
いや、別にそういうわけではないけど……まぁ勝手に勘違いで感動してんのは面白いからいっか。
まぁそれに……あながち完全に勘違いでもない。似合うとかは全然思ってないけどね?
ただ、ルズのアホには、必要なものでもあると思う。ここまで一緒にいて、なんとなく気づいたことがあるのだ。
「オマエさ、魔力ないだろ?」
「え……」
ボクの言葉に、ルズは隠し事がバレた子どもみたいな声を出した。
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