第2話-⑤
「…あれ」
教室の窓際 1番後ろの席いつもは笑顔で迎えてくれる
今日休みかな…。
そんな事を思いながら隣の席へ座る。
梶野くんはいつも元気で春から一度も学校を休んだことが無い。しんどそうにしている所も見た事がない。だから余計に少し心配だ。
何かあったのだろうか…。
「お!
後ろから急に声が聞こえビクッと身体が反応する。
「…ぁ おはよう」
そこには笑顔の
「あのさ、今週の土曜って空いてる?」
「今週の土曜?」
今週…バイト入ってたかな。
俺はそう思い携帯を取り出しスケジュールアプリを開く。大体土曜日はバイトをフルで入れている事が多い。
「…ぁ」
開いたスケジュールアプリには11-19の文字。
11時~19時までバイトが入っていた。
「もしかしてバイト入ってる?」
「ごめん、11時から19時までバイトだ 何かあった?」
「土曜日に
「…祭り」
祭りなんて
俺の心臓がドクンと脈を打ったのが分かった。
「行く!!!」
急に立ち上がったせいで椅子はガタンと倒れた。
「おお、おいおい 椅子倒れてんぞ」
そう言って
「…ぁ…」
その笑顔を見て少し恥ずかしくなった。
ただ祭りに誘われただけなのに…ただそれだけの事なのに…。それが嬉しかった。
「今週
カラオケの受付。誰もいない1階のロビーで暇な店長は俺に話しかけてくる。
「はい、でもその日19時までシフト入ってるんで終わってからですけど」
「え!その日も入ってたっけ!?」
店長は「確認してくる!」と言って駆け足でバックヤードにシフト表を確認しに行く。そしてものの数秒で確認して帰ってきた。
「本当だ!土曜日まで!いいよ〜その日は早めに帰っても!僕がいるし!」
「いやいや、ちゃんと仕事しますよ」
「お祭りだから夜はカラオケ来る人少ないから僕だけで対応出来るよ、せっかくだしお友達とお祭り行ってきな〜いつもありがとう〜」
店長は小太りでいつも汗をかいている。
でもとても優しくて気遣いも出来るいい人。
だから、他のバイトメンバーも店長の事を慕っている。
「…いや、でも」
「
するとバックヤードから店長の奥さんが顔を出す。
「はい…」
「よかったね〜去年は行かなかったでしょ?もしかして彼女出来た?」
「…ぁ、いや 友達と…」
「こらこら、
「ぁ、ごめんなさいね〜」
「いえ、大丈夫です」
店長はこういう気遣いも出来る。
今はプライベートな事を気軽に聞くこともセクハラやパワハラになるらしい。
店長は特に恋愛に関しては気を使っていた。
店長からは聞いてこないが、人柄が良いせいか他のメンバーは店長に恋愛相談をしている所を聞いた事がある。それ程良い人という事だ。
奥さんの
そんな二人が営んでいる店だから、1年程バイトを続ける事が出来ている。
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