第2話-④
「ただいま〜」
俺はいつも通り玄関の扉を開ける。
すると俺の視界に人影がぬわっと現れた。
「「
「うわっ!ちょっ、何だよ」
そこには母親と兄の姿があった。
「
焦った顔で俺に聞いてくる母親。
浴衣なんて、クローゼットの中にあるだろうに何をそんな慌てているんだ。
「クローゼットにあるだろ」
俺はうんざりと言うように乱雑に靴を脱ぎリビングへと向かう。
「ないんだよ、それが!」
母に変わり兄の
「は?ない?じゃあ、知らねーよ」
「知らねーよじゃねーよ!」
「あらら、
「そうだなあ〜、買いに行くしかないなあ〜 俺あの浴衣気に入ってたのになあ〜」
ボスんとソファの上に寝転がり母親と兄の会話を聞いていた。
項垂れる兄と困り顔をする母親。
そして疑問が浮かぶ。
「浴衣って、祭りにでも行くの?」
その言葉を聞いた兄は俺の方へと満面の笑みで頷く。
「よくぞ聞いてくれた弟よ!実はな!兄ちゃんは彼女が出来た〜!その彼女と行くんだ!」
「……ぁ、そう…」
うきうきで言う兄の姿に少し引いた。
「何だよ、その反応は!もっと喜べよ!」
「…ぇ、あ〜 おめでとう?」
「ありがとう!弟よ!」
うきうきの兄の後ろで母親もにこにこと笑い、嬉しそうな母親の姿が目に入る。
母は「あ、
うちには父親がいない。
俺が幼稚園児の頃事故で亡くなった。
7つ上の兄が俺にとっては父親代わりだ。
父親がいないからか、父親がいても元々こういう関係だったのかは分からないが兄と母は仲がいい。別にマザコンって訳じゃないが、彼女が出来たら紹介するし母も兄の元彼女とは仲が良かった。高校生の時に別れて以来兄に彼女はおらず、仕事ばかりだった。
そんな兄に彼女が出来た事が母も嬉しいらしい。
「いつなの?祭り」
「今週の土曜だよ、
「
その時俺はふと思った。
「…
去年は
「
すぐ耳の横から兄貴の声が聞こえた。
びっくりし耳を抑えながら仰け反る。
「!!」
「なんだよ、そんな驚くか?で?何?彼女?」
にやりと笑う兄貴を睨みつけ言葉を発する。
「友達だよ、男友達」
「男友達か、女の子の名前かと思ったわ」
「ちげーよ、男だわ」
「
「あー、ありがと」
夕食を取りながら明日
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