第1話-⑧
校舎の窓の外を見ると
授業の移動なのか、渡り廊下でふたり仲良く歩く姿。それが俺は何だか気に食わない。
腹の底からふつふつと感情が湧く。
「
俺がボーッと窓を眺めているせいで
「ほら、あそこ
窓の外を指さす。
「あ、本当だ 仲良さそうだね」
「だな…」
俺の素っ気ない態度に
「何?気に入らないの?」
「…まあ…」
あのふたりを見ていると
「ふーん なんで?」
「…なんとなく」
「なんだそれ」
だけど
今でも忘れられないあの記憶。
『お前ら…死にてーの?』
中学の時、
夕暮れの放課後の教室に血を流しながら倒れる人を…。
『お前…何してんの…?』
あの
『…
その言葉が嘘でも冗談でもなく、本気だと分かったから、だから怖くなった。
『…
『……は?』
その時教室の角の暗闇から
『…もういいよ。
そう言って
そのふたりを見て、正気じゃない。こいつら正気じゃないと思った。
簡単に人を殺そうとする
だから俺は
最近よく夢を見る。
暗くて何も見えないのに、少し遠く手を伸ばしても掴めない距離に
俺が手を伸ばして声をかけても
俺は必死に名前を呼ぶだけで、何も変わらない。次第に闇は濃くなって行き、
「………」
ベッドの上で夢から覚めた俺はいつも変な汗をかいて、目には涙を浮かべている。
それがここ最近の朝の日常だった。
おかげで寝た気がしなくて、最近身体は怠く重い。そんな身体を無理に起こして学校へ行く準備をして家を出た。
教室に入るといつも通り、
「おはよ!
「…おはよ」
朝から元気だなと思い自分の席へと向かう。
「今日は朝ごはん食べたか?」
「…食べてないよ」
「はあー?食べろよ!倒れんぞ」
「…俺の母親かよ」
ボソッと呟いた言葉に一瞬しまったと思った。完全に素で答えてしまったからだ。すると
「だはははっ!確かにっ!俺、お前の母親みたいな事言ったわ!だはっ、やべー、自分で言った事でうけてる!だせぇ〜!」
大声で笑う姿を見て俺は少しホットした。
最近たまに
その日はいつも通り授業を受けていたのだが、段々身体が熱くなり頭が重くなってくるのが分かった。頭が重くて身体を机に突っ伏したいくらいだ。
「
「…うん」
頭がボーッとしてきて、行動が遅くなる。
その瞬間、急に立ち上がったせいで視界が揺れた。グラッと揺れた視界に身体が追いつかず体勢を崩す。
「…ぁ」
倒れると自覚して目を閉じるが一向に床との衝撃が来ない。恐る恐る目を開けると俺はしっかり
「…ってぇ〜、大丈夫か?
「…ん?」
俺を起こそうと手を握った
ヒヤッとした
「お前、熱いぞ 熱あんじゃねーか?」
自分で気のせいかもと思っていても、他人からそう言われると一気にしんどさが押し寄せてくる。
もう身体は言うことを効かない。
身体はグダッとなり、心做しか気持ちが悪い。
「…はぁ…」
呼吸も荒くなってくる。
「
「……うん」
頭が朦朧とする中、保健室へと連れて行ってくれた。
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