第1話-⑥
「…
その背中に声をかけるが何の反応もない。
「
「うわっ!びっくりした!」
少し大きめの声で彼の名前を呼んだ。
彼はビクッと肩を震わせた。
「お前そんな声でるんだ…そこにびっくりだわ」
「…いや。そうじゃなくて、急に手引っ張ってどうしたの」
「…あー…、いや…」
バツの悪そうな
完全に動揺してる。
さっきの女子生徒の会話聞こえてたんだろうな。
俺に聞こえまいと場所を移したんだろうなと分かった。俺は
「さっきの話、半分本当で半分嘘」
「……半分」
「俺と
「………」
「で、自殺は嘘だよ」
「……あ、嘘…そう、なんだ」
「俺が
それだけ告げて、俺は階段を降りていった。
あえて
ただ淡々と階段を一歩一歩降りていく。
背中に感じる視線を無視して、ただ淡々と…。
昼下がりの教室、強い日差しが窓から差し込む。
黒板の前で授業をする教師の声は頭に全く入らない。俺はさっきの
『俺が
殺した?殺したって本当に…?そんなはずないだろ…。それこそ嘘だ。
「……殺した…」
俺はバッと隣を見る。
やべー、声に出てた…。聞こえたかと思った…。
そしてもうひとつ。
『俺と
付き合ってたって…。
ってことは
その事を考えるばかりで気づいたら午後の授業は終わりを告げていた。
帰る支度を終えて、最後に何か
「…
名前を呼んだが
その背中をみて、思った。
俺は何て言葉をかけようとしていたのだろうかと…。
「おーい、
自分の名前を呼ぶ声がして、教室の扉へと視線を向けるとそこには
「
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