第1話-③

「なに?お前、あの彼方おちかたと話したの?」


クラス替えと始業式が終わり午前中で学校が終わった俺はいつものメンバーでいつものファミレスでいつもの放課後を過ごしていた。

今日の出来事を話すと柚希ゆずきがまじか…とでと言うように話す。


「何?なんかダメだった?」


その柚希ゆずきの反応は何だか話してはいけない奴と話したのかというような言い方。


「いや〜お前、彼方おちかたの事知らねーの?」


「…何が?」


柚希ゆずきの勿体ぶる態度に少しイラつく。


「ユズ、海晴かいせいは中学違うから知らないよ 一年の時も俺らとずっと一緒にいたんだから」


柚希ゆずきの隣に座る忠春ただはる柚希ゆずきを諭す。

柚希ゆずき忠春ただはる、そして俺の三人は高校で同じクラスになり意気投合、それからずっと三人でつるんでいる。

柚希ゆずき忠春ただはるは幼稚園時代からの幼なじみで、家も隣同士、小中高もずっと同じらしい。



「あ、そっか そうだったわ 海晴かいせいなんか中学から一緒にいた気分でいたわ」


「何言ってんだよ んで、何?真雪まゆきがなんかあんの?」


「もう下の名前で呼んでのかよ」


「ユズ…」


短気で口の悪い柚希ゆずきの世話係は忠春ただはるの仕事だ。


海晴かいせい!お前は誰彼構わず話しかけて仲良くなるのは長所だが、相手くらいちゃんと選べ!」


「それをお前が言うのかよ」


クラス替えで皆それぞれグループが出来ておりあまり人見知りのしない俺でも空気を読まずにズカズカと話しかけに行く程の鋼の心は持ち合わせていない。そこでひとりでいた真雪まゆきに目がいったのだ。


海晴かいせいは知らないと思うけど、その彼方おちかた真雪まゆきって俺ら中学同じだったんだ」


忠春ただはるが口を開く。


「あまり、良い噂は聞かなくてさ なんて言うんだろうね 中学では誰ともつるまずずっとひとりだったんだ」


「ふーん それの何がダメなわけ?」


「それが…」


言葉に詰まる忠春ただはる

俺は頭にハテナが浮かんだ。


「それが、彼方おちかたの幼なじみがすげえ悪かったんだよ」


「悪い?」


忠春ただはるに変わって柚希ゆずきが話を続ける。


「恐喝に喧嘩、オヤジ狩り…それはもうやべえ事ばっかしてたって噂 人殺したって噂もあったな」


「なんだそれ…噂だろ?」


「まあ、さすがに人殺したのはただの噂だと思うけど、ほとんど学校来てなかったからな 本当の所は知らねー」

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