第1話-②
桜が少しずつ散り始めた4月。
学年も上がりクラス替えで生徒も浮き足立つ頃周りのやつらは友達とクラスが離れたとか一緒だとか騒ぎながら新しい生活が始まる事にウキウキしていた。
教室もお祭り騒ぎでガヤガヤとうるさい。
俺は仲のいい友達とクラスが離れ、誰一人知っている奴がいない中クラスに馴染めるかと少し不安でいた。
周りはもう生徒同士で集まっていて仲のいい友達と離れたのは俺くらいか…と落胆した。
そんな時ふっと窓際の1番後ろの席で、窓から見える桜をただじっと眺める男に目がいった。
色白で少しクセのあるふわふわした茶色の髪。
二重のクリっとした瞳。
ただぼーっと桜を眺めているだけなのに妙に様になっている。
誰とも話さずただ桜を眺めるその男に、こいつも俺と同じなのかも…と急に親近感が湧きそいつの隣の席へと向かった。
「なぁ…」
隣の席に座り、好奇心から話しかけるが全く反応がない。
「…………」
聞こえてないのか…。
俺はめげずにもう一度声をかける。
「おーい、聞こえてる?」
そいつの視界に入るであろうギリギリの所で手を上下に振る。
するとそいつはびっくりしたのか一瞬肩を震わせ二重の大きな目を見開いて俺の方へと顔を向けた。
「ごめん、びっくりさせた?」
「…ぁ、いや」
少し戸惑いを見せるそいつに俺はめげずに話しかける。
「俺、
「…よろしく…」
「俺さ、仲良い奴らとクラス離れちゃって知ってる奴誰もいねーんだよ。まじ最悪だわ。お前は?」
「……俺も、友達いない」
人見知りなのか目線を合わせないそいつは言葉も少しぎこちない。
「まじ?一緒!名前は?お前なんて名前?」
「
「…おち、かた…変わった苗字だな
それが
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