⑧
「…紗雪さん?」
慎太郎さんの声がして、ベットの縁に彼が座る。
「…大丈夫?」
彼の優しい声が余計に涙を誘う。
「………ぅ…」
「紗雪さん、気分転換しに行こうか。今日土曜日だし、家に引きこもってても辛い事思い出しちゃうでしょ?ちょっと、外の空気でも吸いに行こうよ」
布団に包まったまま私は首を横に振る。
すると彼はほーら!と言って布団をめくる。
「…お願い、俺行きたいところがあるんだ。」
真剣な少し寂しそうな顔。
いつもの優しい笑顔とは違う…。
「…ひとりでは行けないから一緒についてきて欲しいな」
そしてまた寂しそうな顔をして笑う。
その笑顔はなに?
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