『ひとりで生きられそう』

『お前って俺に甘えて来ないじゃん。』

『俺がいる意味ある?』

『頼ってもくんねーの?』


「ーっ」


今まで言われた言葉が脳裏で再生される。

悪夢を見たように目を覚ます。


身体は汗をびっしょりかいていた。


「…最悪…」


ベッドから起き上がり、水を1杯飲む。



「…甘え…か」


『お母さん、あのね』


『お母さんお仕事で忙しいの いい子で待っていられるよね?』


『うん…』


そんな遠い記憶。

共働きの両親。いつからか甘える事頼る事をしなくなっていた。

それはいつしか、好きな人の前で感情を素直に出す事も出来なくなっていった。


「…私、ずっとひとりなのかな」


窓から見えるのはうっすらな光る月。


私だって素直に誰かに甘えたり、頼ったりしたい。

でもいつも何か ストッパーがかかって、何も言えない。


自分ひとりで解決しようとしてしまう。

現にひとりで解決できちゃうし。


でも独りは嫌で、本当は寂しがり屋で。


「…誰か愛してくれない…かな」


そんなわがまま、人に言えるわけもなく。


何もかも1からやり直したい。


ただただ素直な人間になりたい。

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