「お前ひとりで生きてけそうじゃん」


目の前の男は私にそう告げる。


「お前は俺がいなくても生きていけるだろ…だから別れて」


そう一言告げ彼は家を出ていった。

3年、付き合った彼に告げられた一言。

思った以上に心に響いた。


きっと最近仲良くなった女の所に行ったんだろう。


「…はぁもう、やだ」


「今日よく飲みますね〜」


「聞いて下さいよ!松村さん!」


「ずっと聞いてますよ」


ここは行きつけのバー。

彼が出ていってすぐ、開店と共にバーに来た。

ひとりで部屋にいられる自信がなかった。


「3年付き合った彼氏に振られました!」


「……」


「なんか言って下さいよ!」


「…なんて言って欲しいんですか?」


「ん〜なんだろ。」


「………」


松村さんはクスッと笑ってカクテルを作り始めた。


「男の人は少しか弱いくらいの女の人がすきなんでしょ?」


「みんながみんなって訳じゃないと思いますよ」


「そうかな…少しか弱いくらいの方が可愛いですよ、そりゃ…」


「…今日は、サービスします。」


「…え」


松村さんは私の前に淡いピンクのカクテルを置いた。


「今日だけですよ」


そう言って笑う松村さんはなんだか色っぽくて。

お酒が入ってるせいか。

少しかっこよく見えた。

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