あくる日の準備③

「かぐや!私も!」


「はあ~もう…」


いやいや能力をかけるかぐや。


ふわ~


「浮くのにはちょっとこつがいるの!はい!手!」


翼は真理愛と手を繋いで浮くコツを教えてもらう。


「あ~、またやってる~」


「いいな、いいな私も!」


「皐月さ~ん、俺も~」


クラスの人達が気づいてかぐやに群がっていく。


「わわっ、順番です~」


かぐやは順番に触れていき、次々と宙に舞うクラスメイト達。皆宙を舞って、泳いだりアイススケートのように可憐に宙を滑ったりしている。


-皆慣れてる…。


「みなさーん、危険な飛び方は辞めて下さいね~」


下からかぐやが叫ぶ。

天井にはほとんどの生徒が飛び交い、それぞれ楽しそうに舞う。

賑やかに楽しそうに、みんな笑顔で…。

なんだか胸付近が暖かくなった気がした。

その風景を眺めているとパチッと真理愛と目が合う。


「楽しいね、翼ちゃん」


「うん」





「…笑った」


-翼さんが笑った。


笑った顔なんて今まで見たことがなくて。

凛として綺麗な整った顔は本当にお人形のよう。本当に生きているのか疑問に思うくらい。

何を感じて何を思っているのか本当に読めなくて、不思議な感覚だった。

そんな翼さんが控えめに笑った。

それがなんだか嬉しくて…。

少し…少しだけ、安心した。

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