小さな冒険②

「次行くとこは琉伽るかが好きな場所なんだ」


「…好きな場所?」


「そう、【学園】は初等部・中等部・高等部ってあるんだけど、あそこは琉伽るかが初等部からのお気に入りの場所」


「そんな、前から」


「なっ、庵」


「あぁ」


しゅういおりに話を振ってケラケラ笑う。

いおりはなんだか恥ずかしそうに顔を逸らす。


「くくっ、ははっ」


しゅう


いおりしゅうをキッと睨む。


「今から行くところは、いおり琉伽るかが出会った場所で」


「おまっ、それ以上言ったら…」


いおり琉伽るかを女だと勘違いした場所でもあるんだな~」


「…ぇ」


いおりは顔を背け恥ずかしそうに怒る。


「お前、覚えとけよ」


「おお~怖い怖い」


確かに琉伽るかは白い綺麗な肌に綺麗な髪、程よい瞳の大きさで本当に綺麗な人。

幼い時はきっと女の子に間違えられるほど可愛かったに違いない。それは安易に想像できる。


「まっ、琉伽るかは本当に天使のように可愛かったからな~」


「………」


「あいつ初恋泥棒なんだぜ?」


「初恋…泥棒?」


「【学園】内の同年代の奴らもみーんな初恋は琉伽るかっていうぜ?」


しゅうも?」


「お、初めて名前呼んでくれた!そう、俺も」


話の流れでつい名前呼んでしまった…。


「んで、こいつも」


そういっていおりを指さす。

相変わらずいおりは恥ずかしそうにそっぽを向いている。


「俺はすぐに男だって気づいたけど、いおりはわりと長い間好きだったよな」


「…うる、せーな。しょうがないだろ、可愛かったんだから」


「ははっ、認めてやんのー。てな感じで琉伽るかは初恋泥棒なわけ」


”わりと長い間”

そう聞くといつ気づいたのか、気になる…。


「…いつ気づいたの?」



「「………」」


しゅういおりは目が点になる。


-あれ…聞かない方がよかった…?

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