ハンターの一族④

「はーい、お名前は?」


つばさ…」


つばさちゃんはなんでここにいるのかなあ~?」


海偉かいに問われたつばさ御影みかげをチラッとみる。

御影みかげは目が合うなりニコッと笑った。


「はーい、あの暴君野郎はみないよ~」


そういって視線を自分に向けさせる海偉かい


「…ダンピール…なの?」


陸玖りくが横から小さな声で聞く。


「…うん。」


頷いたつばさに目を見開いて驚く陸玖りく

おとぎ話でしか聞いた事のないダンピールという存在。本当に存在した?そんな事本当にありえるの?陸玖りくの頭の中はぐちゃぐちゃにかき乱されていた。


「ダンピールって存在確認されてないよね~、それがまさか【リアゾン】にいたってどういうことですかね~」


そこにいた全員がつばさをみる。

どういうことかと聞かれても生まれも育ちも【リアゾン】だ。自分がどのようにして生まれたかなんてそんなの知らない、あの母親に聞けるわけがなかった。

吸血種ヴァンパイアのことダンピールのこと父親のこと…物心ついた頃にはそのことについて聞くことが許されない暗黙の了解になって口に出す事すら許されない空気だった。

だからつばさは”自分自身”について何も知らない。


「…わからない、何も」


絞り出すように声にする。


「…親は?」


「…いたけど」


「…けど?」


つばさの様子を見て、何かを感づく海偉かい


「ああ、記憶消したか。お前ならやりそうだわ」


そういって御影みかげを睨む。


「……………」


「ダンピールが存在しているなんて世紀の大発見だ、国中の科学者たちがそれはそれは嬉しがるなあ」


「だからだよ、【リアゾン】の方は欲深い。ダンピールがいるなんて分かったらきっと母親諸共実験台にされる。それを事前に防いだ。」


御影みかげは笑って話を続ける。


「それにつばさは半分は吸血種ヴァンパイアだ。吸血衝動も自傷行為で抑えていた。人間を襲うのも時間の問題。彼女が生きやすいのは”こちら側”だと判断しただけだよ」


「………自傷行為」


「…つばさちゃん」


真理愛が心配そうな瞳で声をかける、翼は大丈夫とでもいうように少し微笑んで見せた。


「…ふーん、そういうこと」


「…お兄?」


「『生徒がひとり消えた』そう上から言われてきてみれば、消えた生徒の正体はダンピールだったって訳か。ああ~めんどくせえ~」


海偉かいは頭をガシガシかく。

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