ハンターの一族⑤

「はあ、もういいわ。こっちでどうにか処理しとくわ」


「…お兄、それって」


「ダンピールの存在は【リアゾン】には内緒だ。こんな事実が知られちゃ上は何するか分からねーからなああ~、きっと、えっとつばさだっけ?の母親を探し出して追及するだろう、下手したらあんた拷問されるよ。」


「拷問…」


つばさ思わずは声に出してしまった。


「あれ?知らねーの?【リアゾン】ってそういう所だぜ?自分の欲しいものを手に入れるためには手段は選ばねー、なあみかくーん」


「…そうだね。人間は本当に厄介な生き物だ。同種で戦争なんてする生き物だし…」


「俺らは別にダンピールがいようが居まいが今の平和が保たれるならなんでもいいんだよ、平和が壊される因子を排除する、それだけ」


「……………」


「だから、今はあんたの存在を公にする方が平和は壊されるだろうな~、だから俺達は何も知らない、あんたはただの吸血種だ。そう認識する。それでいいだろ?みかくん」


「話が早くてよかったよ」


「…はあ、疲れる話だなあ~」


「じゃあ、俺らいくわ~」


その後ろを陸玖りくがついていき、二人して窓の縁に足を引っ掛ける。


「っと、その前にやっぱり今の撤回。消えた生徒はあんたじゃない。こいつらが勘づかれるようなヘマするはずがない。その件はこっちで捜査するわ、じゃっ」


「はい、さようなら」


御影みかげはニッコリと笑い、二人に向かって手を振る。そしてそのまま海偉かい陸玖りくは窓から飛び降りた。


「!?」


-ここ6階…


「ははっつばさめちゃ驚いてる」


さっきまで大人しく壁にもたれていたしゅうが笑う。


「大丈夫だ、あいつらは人間だけど人間じゃない」


「またいおりは誤解を生むような言い方する、あいつらはヴァンパイアハンターの末裔なんだ」


しゅうが丁寧に教えてくれる。


「今は昔みたいに吸血種ヴァンパイアを狩ることはないけど、俺ら六花と一緒に平和の均等を保ってくれてる。いえば【リアゾン】の六花みたいな感じかな」


「…知らなかった」


「【リデルガ】と違って、【リアゾン】はハンターの存在を公表してないみたい。陰で平和を守ってくれてるんだよね」


真理愛まりあが笑いながら言う。

当たり前にあった平和は当たり前ではなくて陰で誰かが守ってくれていたのだ。

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