ハンターの一族③

「なあ、みかくーん」


カチャ


海偉かいが、御影みかげに銃を向ける。

その瞬間愁しゅういおりも戦闘態勢に入ったのが分かった。それに気づいた陸玖りくしゅういおりに銃を向ける。空気が張り詰める。


「俺らに隠してる事あるだろ?」


「………」


「……お兄」


部屋の空気が一段と重くなる。

誰かが動けば戦闘が始まるような張り詰めた空気。


「ちょっとおおおお!何してるの!?」


「…ぁ、真理愛まりあ…」


「…ぁ、真理愛まりあじゃないよう!陸玖りくちゃん!なんでこんな物騒なことになってるのおお!?みんな武器引っ込めてええ!!」


真理愛まりあは慌ててその場を収める。

その真理愛まりあの後ろからひょこっとつばさが顔を出した。真理愛まりあの慌てっぷりに部屋の中が気になったのだ。


「…おいおい、お前本当に…えー?嘘だろー、まじかよー」


海偉かいつばさを見るなりげんなりした。


「…お兄、でもこの子…」


陸玖りくは人間とは違う小さな違和感に気づく。


「あ?なんだあ陸玖りく


「…ただの人間じゃ…ない?」


「はあ!?」


「…でも吸血種ヴァンパイアでも…ない?」


陸玖りくちゃんよーお兄ちゃんちょっと意味わかんねーんだけどー」


海偉かい御影みかげから陸玖りくに視線を移す。

いつもポーカーフェイスの陸玖りくが明らかに動揺しているのが分かった。


-あぁ、そういうことかね


御影みかげをみるとニヤッと笑う。


「…人間を連れてくるようなことをするはずないじゃないですか」


「…ということはダンピール」


銃を下げる海偉かい


「はあ、やめだやめだ~、陸玖りくちゃんこっちおいで~」


そういって陸玖りくの肩を抱き寄せる。

まだ信じられないといった顔をしてつばさを見つめる陸玖りく。ダンピールなんて物語の世界でしか存在しないような架空のものだと思っていた。

だが今目の前に存在している。


-ただの言い伝えではなかったということか…


「詳しく話聞かせてもらっていいかね~」

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