リデルガ⑳
『お母さん!お母さん!』
『なあに?
小さな小さな記憶…。
「…ぅ、ふっ……」
唐突に溢れ出す涙。
もう帰れない住み慣れた家。
そんな記憶忘れていたかった。その方が苦しくないから。思い出せば出すほど悲しくなるから。忘れた事にして、そっと閉まった。もう思い出さないように厳重に鍵をかけて…。
静かに泣き出す
けれど、
『
愛する娘を【リデルガ】に連れていかれ、娘に関する記憶も消されるはずなのに『お願いします』だなんて…。普通はもっと抵抗してもおかしくない…なのにあの冷静さに状況を飲み込む早さ…。
-彼女の母親は一体…
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