リデルガ⑮

ーーピルルルルッッ


その時部屋に電子音が鳴り響いた。

御影みかげの携帯からだ。

御影みかげは通話ボタンを押して携帯を耳に当てながら部屋を出ていった。


-聞けなかった。


御影みかげを前にするとどうしても上手く話すことが出来ない。


つばさちゃん、つばさちゃん」


横から弦里げんりが声をかけてくる。


御影みかげは言葉が少ないから掴みにくい奴だけど、ちゃんとつばさちゃんの事考えてるから大丈夫だと思う。ここにいれば大丈夫だから」


「…………」


「俺の事は弦里げんりって呼んで、いおりはさっきはあんなこと言ったけど根はいいやつだから安心して?んでこの部屋は六花専用の部屋だけどつばさちゃんは特別。出入り自由だからさ。」


「うん」


つばさは頷く。

そしてその日、電話に出た切り御影みかげは帰ってこなかった。

弦里げんり曰く、六花の頂点だから現六花頭首の仕事を手伝っているのだそう。

吸血種ヴァンパイアと人間種は見た目は同じだが本当に全く違う種族なのだとつばさは実感した。

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