リデルガ⑧

つばさの目の前には大きな扉、横には藤堂とうどう


「じゃっ、行きますか」


「ぁ、はい」


藤堂とうどうつばさの顔を見て、頭をポンっと撫でニコッと笑い扉を開ける。


「お~い、お前ら座れ~今日からお友達が増えるぞ~」


恐る恐る教室に入り、教室を見渡す。

階段状に高くなっていく席。

教室の後ろまで席が連なっている。


「…ここが教室」


席には見覚えのある顔たち。

その中には真理愛まりあの姿もあった。

ニコッと笑いつばさに手を振る真理愛まりあ

予想通り真理愛まりあは貴族階級だった。


-予想的中。

  

「じゃあ、自己紹介どうぞ」


伊崎いざき つばさです、よろしくお願いします。」


「ということで、特化に仲間が増えました。皆仲良くするよ~に~じゃあ、席は特に決まってないから真理愛まりあの隣でも座ってろな」


「はい」


真理愛まりあに視線を移すと『おいでおいで』というように手招きしてくれる。

サッと真理愛まりあの隣に座った。


「ふふっよかったね、つばさちゃん。真理愛まりあ、嬉しいなあ。これからいっぱい思いで作ろうね」


その真理愛マリの笑顔をみていると凜々りりを思い出した。つばさ真理愛まりあを見ているとなんだか懐かしい気持ちになっていた。それはきっと少し凜々りりに似ているからだと分かった。


-元気にしているかな、凜々りり


「うん」


つばさは頷いた。

すると、真理愛まりあの隣からひょっこっと顔を出したのはこれまた真っ黒なストレートの髪を横でまとめ三つ編みをしている綺麗な女の子。


「こ…こんにちは。」


「ぁ、えっと、こんにちは」


「あはは、かぐやったら凄い緊張してる」


真理愛まりあは笑って、黒髪の彼女の自己紹介をしてくれる。


「この子は皐月さつきかぐや、特化の数少ない女子のひとりだよ」


そう、この特化クラスは見た感じ女子が圧倒的に少ない。そもそも、1クラスの人数も少ないが…。


「人見知りするだけで本当はお喋りさんなんだ、仲良くしてあげてね」


「うん。よろしくね、かぐやちゃん」


「っっ、よろしくお願いしま…す」


真っ赤になるかぐや。


「なに照れてるの~?かぐや~」


「だってぇ~真理愛まりあちゃん、つばささん凄い綺麗だから…」


その言葉を聞いて真理愛まりあつばさの方を見る。


「だよね~羨ましい~」


そう言って真理愛まりあは教室中に視線を移す。



「朝も言ったけど、吸血種ヴァンパイアは容姿に恵まれてる人程 純血に近いの。ほら、御影みかげなんて純血だから特に綺麗な顔立ちしてるでしょ?だから、もしかしたらつばさちゃんのお父さんは純血に近い人だったのかなって…」


確かに、御影みかげは凄く綺麗な顔立ちをしている。

というか…


「…純血?」


「おおい、こら~。そこ、コソコソうるさいぞ~、俺の話聞け~」


「ごめんなさ~い、つばさちゃんに教えてたの~」


「はいはい、もうちょっと静かに教えなさいっ!」


「はあい!」


藤堂とうどうはまた黒板に向き合う。

所々ツッコミたいのを抑える。

そうして、つばさの【リデルガ】での生活が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る