リデルガ⑦

【学園】に着くなり御影みかげはひとりで何処かに行ってしまった。


「ごめんね~、つばさちゃん」


つばさはふるふると顔を横に揺らす。

そんな私を見て真理愛まりあは優しく笑う。


「じゃあ、まずは職員室!」


そう言われて通されたのは一つの大きな部屋だった。

そこには教師であろう人達が忙しなく動いている。


「先生ー!藤堂とうどう先生ー!」


真理愛まりあが扉からひょっこっと顔を出して教師の名前を呼ぶ。

藤堂とうどうはビクッと身体を震わせこちらに振り返る。

つばさ真理愛まりあに気づいた藤堂とうどうはスタスタとこちらに向かってくる。


明星みょうじょう…お前か」


「おはようございます!先生!つばさちゃん連れて来たよ!」


藤堂とうどうつばさの方に向き、じーっと見つめる。


「お前が、噂のね。今日からお前の担任の藤堂とうどうあずさだ、よろしく」


伊崎いざきつばさです、よろしくお願いします。」


藤堂とうどうは少し長い前髪と長い後ろの髪をひとつにくくっている。


つばさちゃんの苗字初めて聞いた〜」


つばさ真理愛まりあの苗字初めて知ったと思ったが口には出さず心の中で呟いた。


「まぁ、さっそくなんだが俺は困っている」


藤堂とうどうは両腕を胸の前で組み、あからさまに困った顔をする。


「何々~?何に困ってるの?先生」


「どっちに入れるか困ってる」


「あぁ~、一般科か特化ってこと?」


「そうそう、どうしようかな~と」


一般?特化?


つばさが戸惑っていると


「この【学園】ではね、一般化と特化ていう二つの科に分かれてるの、一般化は普通の家柄の吸血種の子達で特化は貴族階級の家柄の吸血種の子達が入るの」


真理愛まりあ、良くできました!ぐっ~!」


親指を立てぐう~と突き立てる


「わあ~い!」


「とまあ、そういうことなんだわ。つばさどうする?」


-さっそく呼び捨て…


「え、それ私に聞くんですか?」


「だって~、もう俺わかんないし~」


なんとも適当な教師だ。

この藤堂とうどうという男はどこか気だるげで教師らしい風格もない。

その適当さが少し緊張していたつばさの緊張を解いた。

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