リアゾン⑩

見慣れた小さな一軒家。

周りには一軒も見当たらない。

ポツンと自然の中に佇む家。

車から降りると、つばさの家の前には背の高い青年が立っているのが目に入った。

ブルーに近いグレーの髪を後ろで一つ纏めている。御影みかげと一緒に【リアゾン】に来た琉伽るかの姿だった。琉伽るかはこちらに気づくと御影みかげつばさに会釈をする。


琉伽るか…どうだった?」


「問題ないよ」


琉伽るかの返事に御影みかげは頷いた。

つばさはふたりが何の話をしているのかさっぱり分からない。


「じゃあ、行こうか」


御影みかげつばさの家の中へと足を進める。

御影みかげの後ろを琉伽るかが着いていく。

つばさは何故かその場から動けなくなってしまっていた。母はどんな顔をするだろうか…なんて言うのだろか…。

化け物娘が居なくなって安堵するのだろうか。

そんな事ばかり頭の中で考えていた。


家の前から動けなくなっているつばさ御影みかげが声をかける。


「何してんの…つばさ


急に名前を呼ばれビクッと身体が反応する。


-名前…いつ教えたっけ?

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