第32話 File.研究日誌
▼二〇二五年九月十五日(月)二十五度
〈場所〉
バイオセーフティルーム
〈目的〉
炭そ菌吸入感染モデルを用いたマウス検体の経過観察を開始する。炭そ菌感染後の免疫応答の差異および薬剤投与時の感受性確認。
〈対象〉
マウス検体A―アウトブレッドマウスSlc:ddY
マウス検体B―トランスジェニックマウス(天然痘抗体保有個体)
免疫系の安定化した生後十週間の若年期マウスを選定。トランスジェニックマウスにおいては天然痘抗体による免疫系が炭そ菌感染に異なる免疫反応を示すと予測。対照動物としてアウトブレッドマウスを用意する。アウトブレッドマウスにおいては免疫系が自然機能しており、標準応答を想定する。
〈手法〉
麻酔下にある検体マウスに対し炭そ菌を経鼻接種する。感染進行度の同定にはqPCR法を用いる。具体的には、検体から採取したサンプルに対しタックマン・プローブ法により炭そ菌DNA量を計数する。免疫性能の確認にはフローサイトメトリ―によるナチュラルキラー細胞および細胞傷害性Tリンパ球の活性度測定を行う。また、薬剤投与前後の抗体価測定にはELISA法を、免疫性状はマルチプレックスアッセイによる各種サイトカインの定量を行う……
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