3 いっぱいの謎
滑った 転んだ 狼に
トッツェンガッタは言ったのさ
お前の尾は長すぎる
ちょっと切ってしんぜよう
喜ぶ 喜ぶ 狼に
トッツェンガッタは言ったのさ
お前の尾は固すぎる
ちょっと鋏をお貸しなせ
狼 鋏を持ってきて
トッツェンガッタに尾っぽを向ける
トッツェンガッタは言ったのさ
きれいに切れたぞ見てごらん
狼 喜び 首を回すが
首を回せば 尾っぽは逃げる
逃げる尾っぽを追い回し
ぐるぐる ぐるぐる 回るさ狼
トッツェンガッタはしめしめと
狼ねぐらに這入っていった
財宝たくさん盗みだし
鋏もそのままとんずらさ
まんまと騙され狼は
ぐるぐる ぐるぐる回ってる
岩に刻まれた暗号。不自然な壁の窪み。オオカミ座のアルクマートと一直線上に配置された三角錐状の黒い岩。
そして、この地域に伝わる古い詩歌――。
それらが導くのは、1500年前の
私の胸は躍る。――冒険だ! こんな冒険を待ってたんだ!
だっていうのに、ラルナは、何を考えてるんだろう? 琥珀色の瞳は冷めていて、その横顔は、少なくとも楽しそうじゃない。
倒木に腰掛けて、ぼーっとどこかを眺めてるあなたの横顔。隣に座るあなたを見つめるのをやめて、私は周囲に目を回した。3月の陽気は麗らかで、昼下がりの森にはぽかぽかとした日差しが注ぐ。あっちの木の上で小鳥が歌い、あっちの木をリスが揺らす。またあっちのシラカバの下には、木にもたれながらパンを囓るエドの姿があった。
空腹を覚えて、私はラルナを見つめた。
「私達も何か食べようか?」
「……うーん。いいや。ユーリ、食べなよ」
「うん」
カバンを開けて、パンを取り出す。固くて古いパンだけど、噛み切れない程じゃない。その程度の安いパンだ。
パンは柔らかくてふわふわで……。お城を出て、そんな常識は瞬く間に吹っ飛んだ。パンは普通固いんだ。特に小麦の代わりにライ麦を使った黒パンはカチコチに固くなる。ナイフの歯が立たないくらいだ。じゃあ、どうするかって言うと、スープに入れたり、水やお酒を浸けて柔らかくして食べる。今日は折角の冒険だから、食べやすいように白いパンを買ってあるけどね。
私はパンの先を指で千切って自分の口に入れて、それから、真ん中の多少柔らかい部分を千切って、ラルナに差し出した。
「ほら」
「うん」
何を考えてるのか、ラルナはじっと俯いて何かを見つめている。木々の隙間、下草に紛れて、薄らと白く走る旧い道――。ラルナは双眸をその先に向けると、こっちを見ないでパンを受け取って、そのまま囓り始めた。
「ねえ」
「うん」
「誰も通らないね」
「そうだね。はい、お水」
「うん。ありがと」
こっちを見ないまま突き出された左手に水筒を渡す。ラルナは形の良い顎をちょっと斜めにして、少し口を開いた。革袋が指に押されて、中の水が噴き出した。真っ直ぐに飛んだ水の弾は舌にぶつかって、小さな水滴を散らす。ラルナは水筒をこっちに返すと、肘の窪みに顔を埋めるようにして捲った袖で口を拭った。
私は右手に戻ってきた水筒に目を落とした。遠くのリスに目を遣って、そのまま水筒を持ち上げる。ぎゅっと力を入れて水筒を圧迫した途端、水がびしゃっと顔に掛かった。
「ひゃっ!?」
「……なにやってんの?」
「……なんでもないっ!」
半笑いのラルナから逃げるように背を向けて、私はハンカチで顔を拭った。顔を戻すとまだあなたは私を見てた。
「はい!」
そっぽを向きながら、千切ったパンを突き出した。
「ありがと」
残ったパンを更に二つに分けて、私は一つを自分の口に入れた。もう一つ、ラルナの分を右手に持ったまま、カバンから取り出した手帳に目を落とす。
手帳にはそっくりそのまま暗号が写してある。斜めに、上下に、左右に、暗号は概ね直線から成っていて、直線が交差したり、平行したりしている。文字や記号なのか、それとも絵なのか。直線の向き、或いは長さ? それとも数? 私は考え込む。だけど、謎めいた暗号はどこまで睨んでも謎のままだ。
「……何なんだろこれ」
何を取っ掛かりにすればいい? 何から探せばいい? 考え込んでいるとラルナが言った。
「そう考え込むことないさ」
「え?」
意外な言葉に横顔を見つめた。何を考えているのか、琥珀色の瞳を洞窟の闇に向けて、ラルナは笑う。
「洞窟のどこかに隠してあるはずの“コイン”がなぜか一枚だけ入り口に転がってたんだぜ? こりゃ、“コイン”が自分から転がってきたに違いない。こうして待ってれば、金銀財宝がゴロゴロと……」
「バカ!」
またあなたはそんなこと言う。あなたとの冒険、初めての冒険。私はこんなに楽しいのに。だけど、あなたはそうじゃない。
いつもそうだよね。皮肉げで、斜に構えて、余裕めいて。そんな風にしか笑ってくれない。それがチクチク胸を刺す。ちょっとくらいは腹も立つ。
「真面目に考えてよ! 仕事なんだから!」
楽しそうにして。なんて言えない。言えば、あなたを苦しめる。だいたい、そんな笑顔は偽物だ。分かってる。分かってるけど、口を噤んだままでいるには溢れた気持ちは大きすぎて、結局口を衝いた言葉は変な風にねじ曲がってあなたを傷付ける言葉になった。
琥珀色の瞳を皮肉げに流して、あなたは嘲るように笑う。
「考えてるよ。だからこんな顔もする」
駄目だって分かってても、つい眉間に皺が寄った。ちょっと! 黙ってられないこの口がつい余計な一言を吐きそうになった時、ふらり、躱すようにあなたは立ち上がっていた。
「パン屋さんはさ……。楽しいのかな?」
「へ?」
一転して、あどけない、温かな風が流れた。あなたは子供のような目をして、宙に放るように言った。
「やっぱり。パンを焼くのが楽しいから、パン屋さんなのかな」
振り向いたあなたの眼差しは、子供じみた純粋さで、その問いを真実疑っていた。だけれど、琥珀色の瞳にはどこか煤けたような影が差し、確信と諦念を燻らせていた。
「行くよ、ユーリ。……冒険の始まりだ」
いつの間にか右手のパンは無くなっていて、あなたは最後の一欠片をぽんっと口に放り込むと歩き出した。
あなたの背中に私はただ付いていく。
森の中に微かに残る細い道。あなたが探したのはその行き先だった。
細道は大体東西に走っていて、東側は小川にぶつかって行き止まり、西側は森を抜けて街道まで続いていた。つまり、この道はどこにも行けない、街道の枝道だったわけだ。誰も通らないのは当たり前だ。
地理からして、もしかしたら、昔はこっちが本道だったりしたのかもしれない。川の流れが変わったとか、何か事情があって、皆今ある街道を通るようになった。事情は何にせよ、この細い道は今現在使う人もまた意味も無い道だ。どこにも行けない行き止まりの枝道はお宝の在処としては打って付けに思える。一見意味の無さそうな枝道……。だけど、あの洞窟に繋ぐ事に意味があったとしたら? オオカミの女神マルトカリアを祀る夜に、オオカミ座のアルクマートを指す洞窟。ひょっとしたら、古代の人はあの洞窟で何らかの儀式を行っていたんじゃないだろうか? あの洞窟は古代の祭祀場で、あそこへ行く為に道が作られた。そうだ。私は思い出す。エカテアの旧都アルペジアと隣町ランツネーザを繋ぐ道は何故か弓なりに曲がっている。弧線の中間点に位置するのは、古代の祭祀場ダントルメルの丘。ランツネーザの森で採ったトネリコにダントルメルの丘で火を灯して旧都アルペジアへ運んだのだ。その異教の風習がとうに絶えても、未だ二つの町を繋ぐ道は弓なりに曲がったままでいる。今を生きる私達にダントルメルの丘へ寄る弧線が何ら意味を持たないように、あの洞窟へ続く枝道も一見無意味な物に見える。だけど、その真実は――。
一つの金貨を切っ掛けに湧き上がった空想につい頰が緩んだ。こんな冒険だ。こんな冒険を、待ってたんだ。
だっていうのに……。
「ギャハハハ!!!!! おーら、酒だぁ!」
「ちょっと、触んないでよあんたっ!」
「かてえこというなよっ!」
「おらっ! 俺の勝ちだぁ! ガッハッハッハ!!!」
猥雑な喧噪に私は大きく溜息を吐いた。俯けば、欠けたコップに入った安いビールが鼻を突き、私はコップを脇にどけた。
なんだって、こんな所に……。また吐いた大きな溜息も、隣の男の胴間声に掻き消された。「おっと、わりいな」。どんっとぶつかってきた男の強烈な体臭とタバコの臭いに思わず吐き気がした。
宿代わりにさせて貰っているおばさんのとことは違う。もっと安くて、もっと猥雑な酒場だ。狭い店にひしめき合う男達は誰も彼も服をはだけたあからさまなゴロツキで、彼らにぴったりと寄り添う女達はあられもない装いをしてぷんと香水と化粧の臭いを振り撒いていた。嫌な視線を感じてそれとなく窺えば、額の広い大男がニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべながらこっちを見つめていた。不気味に蠢く口はたぶんタバコを噛んでいて、その証拠に窄めた口からぴゅっと唾が噴き出された。
最悪だ。ほんとに最悪。なのに、なのに、どうしてあなたは――。
「アハハハハ!!!!!」
酒場に響く高い声。汚らしい酒場には似合わない、可愛らしくて、綺麗な声。弾ける笑顔、輝く瞳、ぴょこんと跳ねたそのアホ毛。
ラルナは、あなたは、最高の笑顔で笑ってる。男達と肩を組んで。
バグパイプの音色に合わせて円陣が回る。左右の足が一定の法則に従って蹴り出され、ダンスを織り成す。足音が酒場を響かせ、回転は更に早くなる。
不意に響いたバグパイプの高音を合図に回転は緩やかになる。ゆっくりと円が止まりかけた時、再び狂ったような音色が響き始めた。それを合図に円陣がくるっと外を向いて、今度は反時計回りに回転が始まった。
蹴り出す足のリズムに合わせて、ミニスカートが捲れてはためく。露わな太腿、輝く笑顔。響く足音に空気が揺れて、酒場の昂揚は更に高まる。テンポを速めるバグパイプに合わせて狂騒の輪も加速する。
やがてガシャーンと誰かが転んで終わりの無いダンスは終わった。一瞬、静まった酒場に、どっとと笑い声が湧いて、猥雑な空気を混ぜっ返していった。
滅茶苦茶だ。何もかも。凡そ何一つ秩序立った物が無い。酷い混沌だ。溜息に傾けたコップはやっぱり酷い味がして、私は顔を顰める。
大好きなあなたの笑顔を何だか今は見たくなかった。テーブルに目を落とし、木目を指でなぞった。帰っちゃおっかな。そもそも、なんでこんなとこに来たんだっけ? 腰を上げかけた時、「よぉ」。臭い息が顔に掛かっていた。
「可愛いね。君、一人?」
ぎょろぎょろとした黄色い目がまず目に入ってきた。それから、不気味に歪む分厚い唇に目が行き、そこに咥えられた紙巻きタバコに顔を背けた。
「お? 無視? 大丈夫だって怖がんなんくても」
白い煙を吐き出しながら、軽薄な声を立てる。席を立ち掛ければ、男の腕が邪魔をした。テーブルに手を突く時、わざと音を立ててみせる仕草が気に入らない。別に怖がってなんかない。お前なんか……。
苛ついている。よくないよ。そんな自分に気付きつつも、いいさ別に。どこか捨て鉢な気になった。男の腕を押し退けて、無理やりに立ち上がり、黄色い目を睨め上げた。
「お?」
不快げに眉を上げながら男が汚い手を伸ばしてくる。その腕を掴んで捻じ上げてやろうとしたその時、不意に甘い匂いが香った。
どんっと、温かな体温がぶつかってきて、一歩も退くまいと決めていた足がふらりと後ろに下がっていた。横からぶつかってきたあなたは白い手を首に回して、それから、緩んだ顔を上げた。
「ユーリー、酔っ払っちゃったよー」
声色とは裏腹に瞳は酷く澄んでいた。嫌に真剣な顔がじっと私を見つめて、いつの間にか胸に溜まった澱のような物は吹き飛んでいた。
毒気を抜かれた私は気付けば勝手に歩き出している。自分では命じないのに、独りでに足が動いている。ラルナがそうさせているんだ。私があなたを引っ張っていくんじゃない。あなたが私に引っ張らせる。
「あっ、おい!」
今更男が上げた叫び声は酒場の喧噪に紛れて消えて、ラルナを背負った私はするすると酔っ払いの間を抜けていく。気付けば、酒場の外にいて、清い風が体を包んでいた。
すっかり日は暮れて、まだ冬を残した夜気の中でただあなたの体温が温かい。
「あ、ありがとう」素直に零れた言葉にあなたが「ほんとだよ」。
「危なっかしいったらありゃしない」
そんな口を叩くから、消し炭にまた火が付いた。しがみつくあなたを引き剝がして、一人宵闇の中に歩き出す。
「ユーリ……」
「知らないっ!」
「怒んないでよ。きみも踊れば良かったのに」
「踊りたくなんてない! そもそも何であんな場所に行ったわけ!?」
「だから、先帰っててって言ったじゃん」
「だから、帰れなかったんでしょ! ついてって良かったよ! あんな場所、ダメなんだから!」
「なんで?」
「だから、ダメなの!」
それが分からないからダメなんだ。あんな場所、良くない。あんな所、絶対ダメだ。私はラルナに普通に幸せになって欲しいんだ。もっと普通に、幸せに……。
ラルナが後ろから小さく袖を引っ張った。そんな仕草にカチンと来て、むしろ腕を振り上げてやった瞬間、勝手に体がくるっと回って、私はラルナに抱き着いていた。
闇の中でも爛々と輝く琥珀色の瞳が目の前にあって、酒気の混ざった吐息が頰に掛かる。揶揄われている。怒りと羞恥が綯い交ぜになって、頰がかあっと熱くなる。
背中に回ったあなたの手が後退ろうとした体をぎゅっと抱き竦めて、あなたの唇がゆっくりと近付いてくる。硬直して縮こまって、何故か目を閉じていた。
「……抱き締めて」
「えっ」
あなたの声が耳元で響いて、驚いて目を見開いた瞬間、ぐいっと体を引っ張られて、いつの間にか私はラルナを壁に押し付けていた。私は言われるままに、されるままに、あなたをぎゅっと抱き締める。
「ら、ラルナ……?」
「そうだ。そのまま抱き締めて、わたしを隠しておいて」
「え?」
隠す? どういう事? 混乱する頭に猛烈な足音が響いてきた。複数人、それも急いでる? 答えるようににやっとあなたは口を歪めた。
「ちらっと後ろを見てみなよ。ちらっとだぜ」
言われるままにちらっと後ろを向く。店々から漏れる仄かな灯が男達の姿を照らし出した。はだけた胸元、煌めく装身具、派手な装いは闇夜でもよく目立つ。
その中の一人に私は見覚えがあった。赤い羽根の付いた帽子の男。あの帽子を確かさっきの店で見た気がする。奴は長い長い赤い羽根の付いたあの帽子を頻りに弄んでいた。
帽子の男達は野獣のようなギラついた目を四囲の闇に振り回して小走りでこっちにやって来た。
「……誰かを、探してる?」
「わたしを探してる」
「まさか……!」
ラルナの正体がバレた。最初に思い付いたのは勿論それだった。だけど、ラルナは笑顔にそれを打ち消した。
「まさか。あんなのらくらよいだおれが勇者だなんて誰が思う?」
「あっ、そっか……。じゃあ……?」
嫌な説得力だな。と内心に苦笑いながら、私は琥珀色の瞳に理由を求めた。じゃあ、どうして? ラルナが何かやらかした? いや、それはない。こんなでもラルナは意外と上手くやる。絡まれたって睨まれたって上手く躱していく。認めたくないけど、トラブルを起こすとしたらむしろ私の方。
「さあ、なんでだろうね……」
戯けたように首を傾げたその可憐に目を奪われた次の瞬間――。
「――だけど、奴らも“財宝”を探してるらしいぜ」
ぞっとするような冷たい声が耳元で響いた。背筋を震わす凄味と共に甘いあなたの匂いが鼻を擽って、私はただ動揺している。
「そ、それって! どういう……」
「しっ。声が大きい」
ぐいっと腕を引っ張られたかと思えば、いつの間にかあなたを胸にぎゅっと抱いていた。やや遅れて、私も足音に気付いた。すぐ真後ろを男達が歩いて行く。私はあなたの目立つ赤い髪を覆い隠そうと、ぎゅっと両手であなたを抱いて、胸にひしと押し付けた。胸の中で小さくあなたの声が続く。
「……昼間ね。奴らの一人がエドを尾行けてたよ」
「えっ?」
「どうしようかと思ってたら、何故か途中でいなくなった。洞窟までは付いてこなかったんだ。おかしいなって思った。だから、こうして会いに来てみた。前にこの店で見た顔な気がしたからさ」
昼間。奴らがエドの後を付けてた?
「……どういうこと?」
胸の中のラルナはもう答えない。やがて、ゆっくりとあなたが腕の間を擦り抜けていった。
「さあて……。だけど、まず調べるべき謎は見つかったね」
闇に紛れて消えていく男達の背中を睨めて、ラルナは不気味に薄笑う。調べるべき、謎……?
「それって、暗号? 窪み? それとも、アルクマート!? 何か分かったの!?」
つい声が高くなった。そんな私を横目にして、ラルナは静かに首を振る。
「いいや、そんな立派な謎じゃない」
「――ねえ、ユーリ。そもそもエドはどうやってあの洞窟を見つけたんだ?」
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